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WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...

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者 安 全 モデル, 多 職 種 の, 患 者 中 心<br />

学 習 目 標 2<br />

患 者 安 全 の 原 則 を 理 解 するとともに, 有 害 事 象 の<br />

発 生 頻 度 および 影 響 を 最 小 限 に 抑 え, 有 害 事 象 か<br />

らの 回 復 を 最 大 限 に 高 めていくうえで 患 者 安 全 が<br />

どのような 役 割 を 果 たすかを 学 ぶ.<br />

学 習 アウトカム: 知 識 と 実 践 内 容<br />

患 者 安 全 に 関 する 知 識 と 技 術 は, 有 効 なチーム<br />

ワーク, 正 確 で 時 機 を 得 たコミュニケーション, 薬 剤<br />

安 全 性 , 手 指 衛 生 , 処 置 および 外 科 的 技 能 など, 多<br />

くの 学 習 領 域 に 及 ぶ. 本 カリキュラム 指 針 のトピッ<br />

クは, 妥 当 性 と 有 効 性 を 示 すエビデンスに 基 づいて<br />

選 択 されている.このトピック1では 患 者 安 全 の 概<br />

要 を 示 すとともに, 上 記 の 学 習 領 域 を 更 に 深 く 学 ぶ<br />

ための 準 備 を 行 う.たとえば「 警 鐘 事 象 (sentinel<br />

event)」という 用 語 をトピック1で 紹 介 しているが,<br />

警 鐘 事 象 の 意 味 と 患 者 安 全 との 関 係 については,ト<br />

ピック5「エラーに 学 び, 害 を 防 止 する」とトピック6<br />

「 臨 床 におけるリスクの 理 解 とマネジメント」で 詳<br />

細 に 検 討 する.<br />

習 得 すべき 知 識 3<br />

以 下 の 事 項 を 知 っておくことが 求 められる:<br />

◦ 医 療 上 のエラーやシステムとしての 失 敗 に 起<br />

因 する 害<br />

◦ 他 産 業 におけるエラーとシステムとしての 失<br />

敗 から 得 られた 教 訓<br />

◦ 患 者 安 全 の 歴 史 と「 非 難 の 文 化 」の 起 源<br />

◦ システムとしての 失 敗 , 違 反 ,エラーの 違 い<br />

◦ 患 者 安 全 モデル<br />

習 得 すべき 行 動 内 容 4<br />

患 者 安 全 の 考 え 方 をあらゆる 医 療 業 務 に 適 用 で<br />

きるようになることが 求 められる.また, 安 全 な 医<br />

療 を 提 供 していくうえで 患 者 安 全 が 果 たす 役 割 を<br />

認 識 できる 能 力 を 示 さなければならない.<br />

医 療 上 のエラーやシステムとしての 5<br />

失 敗 によって 引 き 起 こされる 害<br />

医 療 システムでは 有 害 事 象 が 大 きな 害 をもたら<br />

すことが 認 識 されて 久 しいが 5­12) , 有 害 事 象 をどの<br />

程 度 認 識 して 管 理 しているかは, 医 療 システムや 職<br />

種 によって 大 きなばらつきがみられる. 発 生 する 害<br />

の 程 度 に 関 する 情 報 や 理 解 が 不 十 分 であったこと,<br />

そして 実 際 にはエラーのほとんどは 何 の 害 にもつ<br />

ながらないという 事 実 が 原 因 となって, 患 者 安 全 が<br />

重 視 されるようになるまでには 長 い 期 間 を 要 した<br />

ものと 思 われる.また, 間 違 いは 一 度 に 一 人 の 患 者<br />

にしか 影 響 を 及 ぼさないため, 一 か 所 で 働 く 医 療 ス<br />

タッフが 有 害 事 象 を 経 験 ないし 目 撃 する 頻 度 が 単<br />

に 低 いという 可 能 性 も 考 えられる.エラーとシステ<br />

ムとしての 失 敗 の 全 てが 同 時 にあるいは 同 じ 場 所<br />

で 起 こることはないため,システムうえでのエラー<br />

の 深 刻 さは 認 識 しづらくなってしまう.<br />

全 ての 病 院 や 診 療 所 が 当 然 のように 患 者 のアウ<br />

トカムに 関 する 情 報 を 収 集 および 公 表 するには 至 っ<br />

ていないが, 患 者 のアウトカムに 関 する 情 報 を 調 べ<br />

た 膨 大 な 数 の 調 査<br />

11, 13, 14)<br />

では, 有 害 事 象 の 多 くが<br />

防 止 可 能 であったことが 示 されている.Leapeらが<br />

実 施 した 画 期 的 な 研 究<br />

14)<br />

では, 研 究 対 象 の 患 者 に<br />

発 生 した 有 害 事 象 全 体 の3 分 の2が 防 止 可 能 で,こ<br />

のうち28%が 医 療 従 事 者 の 不 注 意 によるもので,<br />

42%が 不 注 意 以 外 の 要 因 に 起 因 していたことが 明<br />

らかになった.Leapeらは, 不 十 分 な 医 学 的 管 理 と<br />

基 準 を 満 たさない 医 療 行 為 のせいで 多 くの 患 者 が<br />

害 を 受 けていると 結 論 づけている.<br />

Batesらの 研 究 では, 薬 剤 関 連 の 有 害 事 象 は 日<br />

常 的 に 発 生 しており, 薬 剤 関 連 の 重 篤 な 有 害 事 象 の<br />

大 半 は 防 止 可 能 であることが 示 されている 15) . 更<br />

に 米 国 の 大 規 模 な 教 育 病 院 では, 入 院 患 者 100 人<br />

当 たり 全 体 で 約 6.5 人 に 薬 剤 による 害 が 生 じている<br />

ことも 判 明 した.これらの 事 象 の 大 部 分 は, 処 方 お<br />

よび 調 剤 段 階 でのエラーに 起 因 していたが, 投 薬 段<br />

階 でも 多 くの 事 象 が 発 生 していた.この 論 文 の 著 者<br />

らは 薬 剤 を 交 付 する2つの 段 階 の 双 方 に 防 止 戦 略<br />

の 焦 点 を 当 てるのがよいと 提 言 している.この 研 究<br />

は 看 護 師 と 薬 剤 師 の 自 己 報 告 ならびに 日 々の 処 方<br />

記 録 の 再 検 討 に 基 づくものであり, 大 抵 の 医 師 が 通<br />

常 , 誤 薬 を 自 己 申 告 しないことを 考 えれば, 控 えめ<br />

に 見 積 もられた 数 字 である.<br />

今 日 の 医 療 システムには 医 療 上 のエラーが 蔓 延<br />

しており,これに 関 連 する 費 用 がかなりの 額 に 上 る<br />

ことが 多 くの 研 究 によって 確 認 されている.オース<br />

トラリアではエラーにより18,000 件 もの 不 必 要 な<br />

死 亡 が 発 生 しており,50,000 人 以 上 が 障 害 者 となっ<br />

ている 16) . 米 国 においては 医 療 上 のエラーで1 年 に<br />

少 なくとも44,000 件 ( 最 多 で 約 98,000 件 )の 不 必<br />

要 な 死 亡 が 発 生 しており,100 万 人 以 上 が 傷 害 を<br />

負 っている 17) .<br />

患 者 とその 家 族 に 及 ぶ 害 と 苦 痛 を 軽 減 する 必 要<br />

があるという 認 識 のもと,<strong>WHO</strong> 加 盟 国 は2002 年<br />

の 世 界 保 健 総 会 (<strong>World</strong> Health Assembly)に<br />

95 Part B トピック 1: 投 薬 の 安 全 性 を 改 善 する

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