WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...
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る 患 者 の 態 度 を 評 価 した 研 究 が7 件 特 定 された.そ<br />
れらの 研 究 は, 患 者 と 情 報 を 共 有 すれば 自 分 が 医<br />
療 訴 訟 の 危 機 に 曝 されるのではないかという 医 療<br />
従 事 者 の 恐 れと 患 者 が 望 む 状 況 との 間 にギャップ<br />
があると 報 告 されていた. 幸 いにも, 最 近 は 情 報 開<br />
示 に 関 する 方 針 が 精 力 的 に 作 成 されており,2005<br />
年 以 降 , 多 くの 病 院 が 情 報 開 示 に 関 する 方 針 を 採 用<br />
し, 明 らかな 悪 影 響 なく 順 調 に 運 用 されている.<br />
患 者 は 自 身 が 受 ける 医 療 にどのようにして 関 与 で<br />
きるか<br />
患 者 とその 家 族 は 一 連 の 診 療 過 程 に 絶 えず 関<br />
わっていく 一 方 , 医 療 者 側 は, 多 様 な 職 種 の 従 事 者<br />
が 間 隔 を 置 きつつ 出 入 りしては,それぞれが 特 定 の<br />
医 療 を 提 供 していく.しかし,そうした 介 入 や 医 療<br />
計 画 は 時 として 十 分 に 統 合 されていない 場 合 もあ<br />
り, 切 れ 目 のない 医 療 を 提 供 するという 目 標 は 必 ず<br />
しも 達 成 されていない. 患 者 が 診 療 過 程 に 常 に 存<br />
在 するという 事 実 と, 患 者 自 身 が 豊 富 な 情 報 源 であ<br />
り, 医 療 計 画 における 重 要 な 資 源 でもあるという 認<br />
識 を 併 せて 考 えれば, 医 療 の 安 全 のためには 患 者<br />
とその 家 族 も 関 与 させるのが 望 ましいという 主 張<br />
は 大 きな 説 得 力 を 持 つことになるであろう.<br />
医 療 の 連 続 性<br />
大 抵 の 医 療 専 門 職 が 患 者 と 接 するのは,その 医<br />
療 専 門 職 の 職 場 環 境 である 病 棟 , 薬 局 , 歯 科 診 療 所 ,<br />
診 療 所 などであるが, 一 方 の 患 者 は 自 宅 から 診 療<br />
所 , 病 院 の 外 来 , 病 棟 , 診 察 室 とさまざまな 医 療 環<br />
境 を 転 々とする.コミュニケーションやチームワー<br />
クが 不 良 であれば 患 者 への 医 療 の 連 続 性 が 損 なわ<br />
れる 可 能 性 があるということを, 医 療 系 の 学 生 は 理<br />
解 しておく 必 要 がある. 必 要 な 情 報 が 入 手 できな<br />
かったり, 入 手 した 情 報 が 間 違 っていたりするなど,<br />
情 報 が 不 正 確 または 不 完 全 な 場 合 には, 患 者 に 間<br />
違 った 治 療 を 行 ってしまう 危 険 性 がある.ある 職 種<br />
から 別 の 職 種 へ,ある 環 境 から 別 の 環 境 へと 状 況 が<br />
移 り 変 わっていく 中 , 患 者 だけは 常 に 変 わらず 存 在<br />
する.その 過 程 での 情 報 交 換 に 患 者 を 関 与 させて<br />
おけば,そこでのコミュニケーションの 精 度 を 向 上<br />
させることできる. 正 確 な 情 報 は 常 に 重 要 であるが,<br />
特 に 患 者 の 引 き 継 ぎやシフト 交 代 の 際 には 極 めて<br />
重 要 となる.<br />
学 生 が 患 者 の 引 き 継 ぎの 質 を 高 めるうえでは, 以<br />
下 の 事 柄 が 求 められる:<br />
◦ 患 者 に 対 するケアおよび 治 療 の 連 続 性 を 確 保<br />
するために, 正 しいタイミングで 正 しい 人 物 に<br />
情 報 を 提 供 できる.<br />
◦ 情 報 を 読 みやすい 字 で 明 確 に 記 録 できる.<br />
◦ 患 者 の 経 過 を 示 した 患 者 記 録 を 作 成 できる.<br />
◦ チーム 内 の 別 のメンバーや 別 の 医 療 チームに<br />
対 して 患 者 の 状 態 とケア 計 画 に 関 する 情 報 を<br />
正 確 に 伝 えることができる.<br />
◦ 医 療 チーム 内 の 別 のメンバーに 臨 床 所 見 を<br />
はっきりと 伝 えることができる.<br />
◦ 治 療 を 担 当 する 医 療 従 事 者 や 医 療 チーム 内 の<br />
他 のスタッフに 患 者 の 診 療 を 引 き 継 ぐことがで<br />
きる.<br />
◦ 全 ての 患 者 に 連 続 的 な 医 療 を 提 供 するために<br />
職 種 間 の 連 携 を 確 保 できる.<br />
◦ 薬 剤 を 効 果 的 に 管 理 できる.<br />
患 者 の 体 験 談 は 訴 えかける<br />
ヒューマンエラー 研 究 の 専 門 家 は, 害 の 発 生 を 防<br />
止 するうえで 患 者 や 家 族 が 担 う 役 割 を 明 確 に 理 解<br />
させないまま, 患 者 や 家 族 に 責 任 を 負 わせることに<br />
ついて, 強 い 警 告 を 示 している.エラーの 発 生 を 最<br />
小 限 に 抑 えるために 患 者 が 果 たせる 役 割 について<br />
は,そのプロセスに 患 者 の 果 たすべき 役 割 が 本 当 に<br />
あるのか 否 かを 含 めて, 真 剣 に 検 討 した 研 究 はまだ<br />
実 施 されていない.しかし, 有 害 事 象 を 被 った 患 者<br />
の 体 験 談 の 多 くが 示 唆 しているのは,もし 医 療 従 事<br />
者 が 患 者 の 心 配 に 耳 を 傾 けていたら, 有 害 事 象 は<br />
避 けられたかもしれないということである.これら<br />
の 体 験 談 には 医 療 従 事 者 に 強 く 訴 えかけるものが<br />
あり,これらの 体 験 談 を 聞 いた 学 生 は, 必 ず 真 剣 に<br />
向 き 合 い,その 体 験 に 思 いを 巡 らし, 新 たに 理 解 し<br />
た 内 容 を 自 身 の 実 務 に 適 用 しようとする.また 患 者<br />
の 体 験 談 は, 教 科 書 や 講 義 で 扱 う 題 材 を 補 足 する<br />
強 力 なツールとしても 活 用 できる.<br />
患 者 の 体 験 から 学 ぶ<br />
患 者 の 体 験 を 学 生 の 教 育 材 料 にするという 考 え<br />
方 は 従 来 にはなかった 発 想 であるが, 学 生 や 医 療 従<br />
事 者 にとって 疾 患 や 病 態 に 関 する 患 者 の 体 験 談 は<br />
多 くのことを 学 べる 教 育 材 料 であるというエビデ<br />
ンスが 蓄 積 されている. 患 者 の 体 験 談 から 学 べる 事<br />
項 には 患 者 が 果 たす 役 割 も 含 まれ,その 主 なものと<br />
しては,(i) 診 断 の 手 助 けをする,(ii) 適 切 な 治 療 法<br />
を 決 定 する,(iii) 経 験 豊 富 で 安 全 な 医 療 従 事 者 を<br />
選 ぶ,(iv) 治 療 が 適 切 に 行 われるよう 確 認 する,<br />
(v) 有 害 事 象 を 特 定 して 速 やかに 周 囲 に 知 らせる,<br />
などが 挙 げられている 8) .<br />
患 者 の 声 には 説 得 力 があり,また 患 者 中 心 のケア<br />
195 Part B トピック 8: 患 者 や 介 護 者 と 協 同 する