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WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...

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ず, 退 院 前 にCarolineが 十 分 な 検 査 を 受 けられるような 手 配 も 行 っていなかった.B 医 師 に 関 しては,<br />

硬 膜 外 カテーテルを 挿 入 する 前 の 手 洗 いについて, 根 拠 に 基 づく 医 療 ガイドラインを 遵 守 していな<br />

かったのではないかという 懸 念 もある.というのは, 独 立 した 専 門 家 が 調 査 した 結 果 , 膿 瘍 の 原 因 となっ<br />

た 細 菌 が 市 立 病 院 の 医 療 スタッフか 環 境 に 由 来 する 可 能 性 が 一 番 高 いと 推 定 されたからである.<br />

退 院 後 の 管 理 は 他 の 医 療 スタッフが 行 うことがはっきりしていたわけであるが,B 医 師 はCaroline<br />

を 医 療 チームの 一 員 として 扱 わず, 背 部 痛 が 悪 化 した 場 合 は 診 察 を 受 ける 必 要 があるという 指 示 を 行<br />

わなかった.また, 地 元 の 開 業 医 であるC 医 師 宛 てに 紹 介 状 を 書 いたり 電 話 をしたりすることもなかっ<br />

た.<br />

検 視 官 は, 退 院 して 自 宅 に 戻 った 後 にCarolineを 診 察 した 医 師 一 人 一 人 が, 主 要 な 問 題 は 誰 か 別 の<br />

医 師 がいつか 見 つけ 出 すであろうという 誤 った 予 測 のもと, 性 急 に 診 断 を 下 していたとの 見 解 を 述 べ<br />

た.C 医 師 はCarolineが 地 域 病 院 に 入 院 することを 知 っていたため,かなりぞんざいな 診 察 しか 行 わ<br />

なかった. 入 院 後 に 対 応 したD 医 師 は 硬 膜 外 膿 瘍 の 可 能 性 が30%ほどあると 考 えたが, 他 の 医 師 の 目<br />

にも 明 らかであろうと 考 えて 記 録 しなかった.また,E 医 師 はCarolineを 診 察 することに 同 意 しておき<br />

ながら 忘 れてしまっており,これは 許 容 される 医 療 行 為 の 範 囲 から 大 きく 逸 脱 する.<br />

地 域 病 院 でCarolineを 最 後 に 診 察 したのは 内 科 医 のF 医 師 であるが, 暫 定 的 な 診 断 である 仙 腸 骨<br />

炎 について 十 分 な 検 討 を 行 わず, 術 後 に 仙 腸 骨 炎 を 起 こしたか,それが 感 染 源 になった 可 能 性 がある<br />

と 考 え, 強 力 な 鎮 痛 薬 を 処 方 しただけでCarolineを 退 院 させた. 投 薬 の 安 全 性 に 関 しては,F 医 師 は<br />

手 書 きのメモをCarolineに 渡 したが,その 内 容 は「 症 状 の 変 化 を 見 ながら 痛 みが 強 い 時 は 塩 酸 オキ<br />

シコドンの 服 用 量 を 増 やしてください」といったもので, 漠 然 としたあいまいな 指 示 であった. 診 察 内<br />

容 の 詳 細 とMRIの 必 要 があるかもしれないという 内 容 も 書 いたとF 医 師 は 言 っているが,そのメモは<br />

現 在 までに 見 つかっていない.<br />

Carolineが 受 けた 医 療 の 全 体 的 な 責 任 を 誰 か 一 人 の 医 師 に 負 わせるとすれば, 担 当 した 産 科 医 の<br />

A 医 師 ではないかと 検 死 官 は 考 えている.Carolineは 市 立 病 院 から 退 院 して 以 来 ,A 医 師 に 少 なくと<br />

も3 回 電 話 をかけて 痛 みと 症 状 が 続 いていることを 報 告 していたが,A 医 師 は 病 状 の 深 刻 さを 認 識 で<br />

きていなかった.<br />

分 娩 から25 日 後 に 死 亡 するまで,Carolineは4つの 異 なる 病 院 に 入 院 した. 医 師 と 看 護 師 で 構 成 さ<br />

れる 医 療 チームの 間 で 責 任 が 移 譲 されていく 中 で, 医 療 の 連 続 性 を 適 切 に 維 持 する 必 要 があったの<br />

は 明 らかである. 暫 定 / 鑑 別 診 断 や 検 査 の 十 分 な 記 録 を 保 存 しておかなかったこと, 更 に 退 院 時 要 約<br />

や 紹 介 状 を 提 供 しなかったことが 生 命 を 脅 かす 膿 瘍 の 診 断 の 遅 れにつながり, 最 終 的 にはCaroline<br />

の 死 を 招 いたのである.<br />

SourceInquest into the death of Caroline Barbara Anderson, Coroners Court, Westmead, Sydney, Australia, 9 March 2004.<br />

Professor Merrilyn Walton from the <strong>WHO</strong> Expert Group was given written permission by Carolines family to use her story<br />

in teaching health-care students to help them learn about patient safety from the perspective of patients and families.<br />

93 Part B トピック 1: 投 薬 の 安 全 性 を 改 善 する

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