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WHO Patient Safety Curriculum Guide - Extranet Systems - World ...

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なってくる. 特 に 患 者 が 害 を 受 けるリスクの 下 にい<br />

る 状 況 で, 学 生 が 教 師 や 先 輩 の 医 療 従 事 者 に 対 し<br />

てどこまではっきりと 主 張 できるかは,その 時 々の<br />

状 況 とそれぞれの 職 場 の 変 化 への 順 応 性 にかかっ<br />

ている. 社 会 によっては, 患 者 安 全 の 概 念 が 文 化 的<br />

規 範 と 容 易 には 調 和 できないか 可 能 性 もある.これ<br />

らの 障 壁 についてはこのトピックの 後 半 で 詳 細 に 検<br />

討 する(「 医 療 の 現 実 と 向 き 合 う: 学 生 が 患 者 安 全<br />

の 担 い 手 となるために」を 参 照 のこと).<br />

学 生 がはっきりと 目 にする 障 壁 の 最 たるものは,<br />

実 習 や 治 療 の 現 場 で 起 きる 問 題 であり, 教 師 や 指 導<br />

教 官 , 医 療 専 門 家 などが 医 療 上 の 新 たな 課 題 に 適<br />

応 できていなかったり, 課 題 に 対 して 何 らかの 変 革<br />

がなされるのを 積 極 的 に 阻 もうとしたりするといっ<br />

た 場 合 が 多 い. 指 導 者 のこのような 態 度 は, 患 者 安<br />

全 を 重 要 視 していた 学 生 をただ 教 科 書 を 読 むだけ<br />

の 学 生 に 変 貌 させてしまうことすらある.また 看 護<br />

師 , 薬 剤 師 , 歯 科 医 師 , 医 師 などの 異 なる 職 種 の 医<br />

療 専 門 家 が 自 身 の 職 業 文 化 を 守 ろうとすることが,<br />

医 療 に 対 する 縦 割 り 型 のアプローチへとつながり,<br />

これもまた 重 大 な 障 壁 となる. 異 なる 職 種 間 で 良 好<br />

なコミュニケーションを 取 れなければ, 医 療 上 のエ<br />

ラーを 招 くことになる.しかしながら,エラーを 減 ら<br />

し, 医 療 スタッフ 間 のコミュニケーションを 改 善 し,<br />

より 健 全 な 職 場 環 境 を 促 進 するうえでは, 多 職 種<br />

チームのアプローチの 方 がはるかに 効 果 的 である.<br />

教 師 や 指 導 者 が 本 カリキュラムに 精 通 すれば, 学<br />

生 が 学 んだことを 現 場 で 実 践 できない 恐 れがある<br />

とすぐに 気 づくであろう. 医 療 専 門 家 の 中 には,こ<br />

のように 障 壁 が 多 くては 学 生 に 患 者 安 全 を 教 える<br />

ことなど 不 可 能 と 感 じる 者 もいるかもしれない.し<br />

かし, 障 壁 を 特 定 して 検 討 しされれば,それほど 恐<br />

れるべきものではない. 学 生 のグループに 医 療 の 現<br />

実 と 障 壁 についてディスカッションさせるだけでも,<br />

情 報 を 提 供 して 教 育 することになる.それは 少 なく<br />

とも,システムを 建 設 的 に 批 判 し, 現 状 がどうなっ<br />

ているかをじっくり 考 察 する 機 会 となるのである.<br />

本 カリキュラム 指 針 のトピックは 実 際 の 医 療<br />

とどのように 関 係 するか<br />

表 B-1は, 手 指 衛 生 を 例 にとり, 本 カリキュラム 指<br />

針 のトピックが 実 際 の 医 療 とどのようにつながって<br />

いるのかを 示 したものである. 患 者 安 全 の 原 則 は,<br />

チームワーク, 投 薬 の 安 全 性 , 患 者 との 協 同 など 医<br />

療 全 体 にわたって 応 用 される.この 手 指 衛 生 の 例 で<br />

は, 医 療 従 事 者 がしかるべき 時 に 適 切 な 方 法 で 手 洗<br />

いを 行 うことで 感 染 伝 播 を 最 小 限 に 抑 えられるこ<br />

とがよく 理 解 できる. 正 しい 手 指 消 毒 手 順 を 実 践 す<br />

るのは 当 たり 前 で 極 めて 簡 単 なことのようにも 思<br />

える.そして 医 療 専 門 家 , 教 員 , 学 生 ,その 他 の 医 療<br />

スタッフに 対 して 標 準 および 普 遍 的 予 防 策 の 教 育<br />

を 推 進 する 数 々の 運 動 が 行 われてきた.しかしなが<br />

ら,この 問 題 は 依 然 として 解 決 されていないようで<br />

あり, 医 療 関 連 感 染 症 (HCAI)は 世 界 的 に 増 加 し<br />

ている.このトピックには,それぞれ 特 定 の 領 域 に<br />

ついて 重 要 な 学 習 内 容 が 含 まれている.またトピッ<br />

ク 全 体 としては, 基 礎 的 な 知 識 を 学 生 に 提 供 すると<br />

ともに, 手 指 衛 生 に 関 する 正 しい 手 順 を 継 続 して 実<br />

施 し,システム 全 体 の 改 善 方 法 を 探 索 するよう 促 す<br />

内 容 となっている.<br />

表 B-1<br />

各 トピック 間 の 相 互 関 係 : 手 指 衛 生 の 例<br />

問 題 の 領 域 :<br />

感 染 伝 播 を 最 小 限 に 抑 える<br />

不 十 分 な 感 染 制 御 に 起 因 する 問 題<br />

カリキュラム 指 針 のトピックと 実 務 との 関 連 性<br />

トピック1「 患 者 安 全 とは」では, 有 害 事 象 によって 引 き 起 こされる 害 と 苦 痛<br />

に 関 するエビデンスを 紹 介 する. 学 生 は 患 者 安 全 の 概 念 を 学 び, 有 害 事 象 の<br />

発 生 率 やその 影 響 を 最 小 限 にするうえで 自 らが 果 たせる 役 割 を 知 ることで,<br />

自 身 の 行 動 の 重 要 性 を 認 識 できるようになる( 感 染 予 防 対 策 のために 正 し<br />

い 手 指 衛 生 の 手 技 を 遵 守 するなど).<br />

医 療 従 事 者 は 感 染 症 が 問 題 であるこ トピック2「 患 者 安 全 におけるヒューマンファクターズの 重 要 性 」では, 人 間<br />

とは 認 識 しているが,それだけでは の 行 動 , 行 動 の 理 由 ,そしてエラーを 犯 す 理 由 について 説 明 する.ヒューマ<br />

実 務 の 変 革 には 至 らないようである. ンファクターズについて 理 解 することは,エラーが 起 こる 状 況 を 特 定 し, 学<br />

手 指 衛 生 に 関 する 正 しい 手 技 をしば 生 がエラーを 回 避 したりその 発 生 を 最 小 限 に 減 らす 方 法 を 学 ぶうえで 有 用<br />

らくの 間 は 実 践 しても,やがては 忘 となる.エラーに 関 係 する 要 素 とその 根 本 原 因 を 理 解 すれば, 自 身 の 行 動 の<br />

れてしまう.<br />

背 景 を 理 解 することにつながる.たとえば,しっかりやる(きちんと 手 を 洗 う)<br />

ように 指 導 するだけでは 何 も 変 わらず, 職 場 環 境 と 使 用 する 器 具 を 背 景 とし<br />

て 考 慮 したうえで, 医 療 従 事 者 の 行 動 を 考 察 する 必 要 がある.ある 患 者 の 感<br />

染 が 医 療 従 事 者 の 行 動 が 原 因 であったと 認 識 できれば, 業 務 のやり 方 を 変<br />

えて 標 準 予 防 策 を 採 用 する 可 能 性 が 高 まるであろう.<br />

85 Part B 本 カリキュラム 指 針 のトピックへの 導 入

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