チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議
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図 3.55.: 黒 海 の 海 底 ヘドロ 中 の 137 Cs 濃 度 の 深 さ 分 布 。2000 年 のIAEA 黒 海 調 査 で 柱 状 に 採 取 された<br />
堆 積 物 試 料 (コア BS-23/2000)に 基 づく。[ 文 献 3.96より 引 用 ] 【 横 軸 は 堆 積 物 中 の 放 射 能 濃 度 ( 単<br />
位 はBq/kg)。 縦 軸 は 堆 積 物 なので 深 さ( 単 位 はcm)が 古 さに 対 応 する。】<br />
訳 注 76:3.1.5 節 にストロンチウムがセシウムに 比 べて 原 発 近 くに 集 中 してフォールアウトした 事 が<br />
書 かれてある。これは 原 発 からの 飛 散 の 形 態 が 違 った 為 である。<br />
3.5.4.2. 放 射 性 核 種 の 海 洋 生 物 への 移 行<br />
放 射 性 セシウムや 放 射 性 ストロンチウムの 生 物 への 濃 縮 は、 海 洋 系 では 淡 水 系 の 場 合 より 少 なく<br />
訳 注<br />
なる。というのも、 競 合 イオンが 塩 水 に 大 量 に 溶 け 込 んでいるからである 77 。 海 洋 系 では、この<br />
ように 137 Csと 90 Srの 生 物 濃 縮 が 低 い 上 、 大 量 の 海 水 による 希 釈 効 果 で、 海 洋 系 の 生 物 は、チェルノ<br />
ブイリ 事 故 後 も、 放 射 能 濃 度 が 低 めのままだった。 表 3.8は、 例 として 黒 海 の 海 水 と 生 物 を1998 年 〜<br />
2001 年 に 137 Cs、 90 Sr、 239,240 Puについて 測 定 した 結 果 である [3.96]。チェルノブイリ 事 故 後 のバルト<br />
海 の 魚 の 放 射 能 汚 染 に 関 しては、10 年 以 上 もの 詳 細 なデータが 文 献 [3.136]に 示 されている。1995 年<br />
までは、ほとんどの 魚 種 で、 放 射 性 セシウム 汚 染 は 比 較 的 低 いレベルに 保 たれ、 大 抵 は30-100 Bq/kg<br />
かそれ 以 下 であった。<br />
訳 注 77: 競 合 元 素 (それが 水 に 溶 けて 電 離 したものが 競 合 イオン)とは、 放 射 性 核 種 と 化 学 的 性 質<br />
が 似 ていて、 取 り 込 みの 際 に 一 方 が 増 えればもう 一 方 が 減 る 関 係 にあるもの。3.3.4.1 節 を 参 照 。<br />
訳 注 78<br />
3.5.5. 地 下 水 中 の 放 射 性 核 種<br />
訳 注 78: 地 下 水 と 言 っても 色 々な 形 態 があり、 水 が 浸 透 する 土 壌 (aquifer= 帯 水 層 )に 水 が 溜 まる<br />
形 態 ( 砂 浜 を 掘 ると 水 が 出 て 来 るようなもの)と、 水 を 保 持 するが 浸 透 性 の 悪 い 土 壌 (aquitard<br />
= 難 透 水 層 )に 水 が 溜 まる 形 態 (おおむね 地 下 水 の 底 の 部 分 )、 水 が 浸 透 しにくいし 保 持 もしに<br />
くい 土 壌 (aquiclude: 粘 土 質 等 )に 水 が 溜 まる 形 態 とがあり、これらの 下 に 大 抵 は 水 を 通 さない<br />
層 ( 岩 盤 等 )がある。いずれにしても 土 壌 の 中 を 移 動 して 行 くのが 地 下 水 という 事 になるので 表<br />
層 水 に 比 べて 移 動 が 非 常 に 遅 い。<br />
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