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チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

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訳 注 84: 原 文 ではturnoverが 少 ないとなっていて、 具 体 的 には3.5.3.2 節 に 書 かれているように 水 の 出<br />

入 りの 少 ない 湖 ( 三 日 月 湖 など)を 指 す。<br />

訳 注 85:これは、 西 洋 で 魚 の 骨 を 食 べないから 言 える 事 であり、 小 魚 の 骨 を 食 べる 文 化 をもつ 日 本<br />

では、 骨 からの 汚 染 は 無 視 出 来 ない。ストロンチウムがカルシウムに 置 き 換 わるような 形 の 汚 染<br />

をするので、カルシウムはミルクと 骨 に 溜 まる。<br />

訳 注 86: 落 ち 葉 などがなかなか 分 解 されずに 残 るような 痩 せた 土 地 で、 牧 草 が 二 次 汚 染 されやすい。<br />

3.7. 今 後 必 要 な 放 射 能 監 視 と 研 究<br />

チェルノブイリ 事 故 によるヨーロッパ 全 体 の 137 Cs 地 表 沈 着 に 関 しては、 汚 染 地 図 の 更 新 が 必 要 だ<br />

が、アルバニア、ブルガリア、グルジアの3ヶ 国 が 空 白 地 帯 になっている。この 空 白 を 埋 める 測 定<br />

をして 地 表 汚 染 地 図 を 完 成 させなければならない。<br />

チェルノブイリ 事 故 後 に 甲 状 腺 がんの 増 加 が 確 認 された 地 域 に 関 しては、 事 故 直 後 の 131 Iによる 沈<br />

着 をよりきめ 細 かく 再 現 しなければならない。これは、 現 在 の 土 壌 中 の 129 Iの 量 から 当 時 の 131 Iの 量<br />

の 推 定 する 方 法 を、1986 年 に 実 施 された 測 定 結 果 【 131 Iの 大 雑 把 な 分 布 】と 組 み 合 わせれば 可 能 であ<br />

る。こうして 131 Iによる 沈 着 量 分 布 がより 正 確 に 分 かれば、 131 Iによる 甲 状 腺 被 曝 量 がより 正 確 に 推<br />

定 出 来 る。これは 住 民 の 今 後 の 健 康 リスク【どのくらいの 確 率 で 癌 になるか 等 】を 知 る 上 で 必 須 で<br />

ある。<br />

農 作 物 ・ 畜 産 物 に 関 しては、 137 Csについても 90 Srについても、 長 期 的 に 濃 度 がどのくらいのペー<br />

スで 減 って 行 くのか、あるいはこれ 以 上 減 らないのかを 知 る 必 要 がある。この 長 期 変 化 は、さまざ<br />

まな 土 壌 や 気 候 条 件 、 農 業 慣 行 でそれぞれ 長 期 【 数 十 年 単 位 】に 渡 って 調 べなければならない。そ<br />

の 為 に、モニタリング 地 点 を 決 め、 調 査 対 象 を 絞 った 研 究 プロジェクトが 必 要 である。<br />

放 射 能 汚 染 の 酷 かった 都 市 (プリピャチ、チェルノブイリ、その 他 )に 関 しては、 137 Csや 放 射 性<br />

プルトニウムの 都 市 内 での 細 かい 分 布 【 屋 根 や 壁 を 含 む】を 再 び 調 査 する 事 は 有 意 義 である。これ<br />

により、【 汚 染 がどのような 場 所 でどのくらい 速 く 減 っているか・ 減 っていないかがわかり、ひい<br />

ては】、もしも 将 来 に 原 子 力 事 故 や 放 射 能 漏 れ、テロなどがあった 場 合 に、 近 隣 住 民 の 外 部 被 曝 と<br />

訳 注<br />

内 部 被 曝 を 推 定 する 為 のモデルをより 正 確 に 改 良 する 事 ができる 87 。<br />

森 林 汚 染 の 問 題 【 農 地 と 違 ってなかなか 汚 染 が 収 まらない】に 関 しては、 汚 染 が 今 なお 酷 い 森 林<br />

で 採 ったり 狩 ったりする 動 植 物 【キノコ、 野 いちご(ベリー)、 狩 猟 獣 】の 汚 染 を 長 期 にわたって<br />

調 べる 必 要 がある。 放 射 能 汚 染 の 影 響 の 残 る 国 々の 関 係 機 関 では、 実 際 に、この 手 の 長 期 モニタリ<br />

ング【 調 査 】の 結 果 を 元 に、 一 般 人 が 余 暇 を 過 ごしたり 野 生 食 品 を 採 ったり 狩 ったりするなどで 森<br />

林 の 利 用 する 際 について 勧 告 ・ 指 導 が 行 われている。<br />

林 産 品 経 由 の 被 曝 を 防 ぐ 為 に 林 産 品 の 放 射 能 検 査 が 続 けられているが、 他 にも、 森 林 そのものの<br />

放 射 性 セシウム 汚 染 状 況 の 長 期 的 な 変 化 【 森 林 内 の 移 動 や 季 節 変 化 や、 物 理 的 半 減 期 に 従 う 減 衰 】<br />

を 知 る 必 要 がある。その 為 に、 特 定 の 森 林 の 特 定 地 点 を 選 んで、より 詳 細 で、 科 学 的 な 計 測 を 長 期<br />

に 渡 って 続 けるべきである。このような 長 期 計 測 【モニタリング】は、 現 在 ある 予 測 モデルを 改 良<br />

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