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チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

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する 上 でも 必 要 である。 現 に、 森 林 の 長 期 計 測 は、 深 刻 な 放 射 能 汚 染 を 受 けた 国 々のうちの 幾 つか<br />

【ベラルーシやロシアなど】で 既 に 実 施 されている。 計 測 を 今 後 も 続 けることは 重 要 で、それによ<br />

って、はじめて 今 後 の 汚 染 に 関 する 長 期 変 化 が、より 正 確 に 予 想 出 来 るようになる。<br />

水 域 系 ( 河 川 ・ 湖 沼 ・ 海 洋 ・ 地 下 水 )の 放 射 能 汚 染 は、チェルノブイリ 事 故 後 の 数 年 間 に 集 中 的<br />

に 研 究 ・ 定 期 測 定 がされており、 半 減 期 の 長 くて 被 曝 量 の 大 きい 90 Srと 137 Csに 関 しては、 水 域 系 内<br />

での 移 動 や 生 体 濃 縮 が、 現 在 までにかなりよく 分 かっている。したがって、 水 域 系 での 放 射 性 核 種<br />

については、 新 たに 大 規 模 な 研 究 計 画 を 緊 急 に 組 む 必 要 はあまりない。しかし、 水 域 環 境 の 継 続 測<br />

定 【モニタリング】は、 今 後 も( 限 られた 地 域 になるだろうが) 続 ける 必 要 があり、 他 にも 研 究 が<br />

必 要 な 対 象 も 残 っている。これら 課 題 を 以 下 にまとめる。<br />

重 要 な 水 域 系 (プリピャチ 川 ・ドニエプル 川 水 系 、 黒 海 、バルト 海 、 汚 染 の 酷 い 西 ヨーロッパの<br />

河 川 ・ 湖 沼 のいくつか)に 関 しては、 90 Srと 137 Cs 濃 度 を 継 続 的 に 監 視 ・ 測 定 しつづける 事 で、 将 来<br />

の 汚 染 状 況 の 予 測 がより 正 確 になるだろう。 測 定 対 象 は 水 、 堆 積 物 、 魚 であり、それを 今 後 も 続 け<br />

る 事 で、 今 までの 放 射 能 測 定 と 合 わせて、 事 故 以 来 の 長 期 データが 得 られる 事 になる。データの 取<br />

得 期 間 が 長 ければ 長 い 程 、 水 域 系 での 放 射 性 核 種 の 濃 度 を 予 測 するモデルも、より 正 確 になる。<br />

チェルノブイリ 事 故 による 汚 染 の 酷 い 地 域 では、 90 Srや 137 Cs 以 外 の 超 ウラン 元 素 核 種 【ウラン 核<br />

反 応 で 出 来 た 元 素 でプルトニウムがその 例 】については 調 べる 必 要 がある。これらは、 90 Srや 137 Cs<br />

ほどには 被 曝 を 引 き 起 こしていないものの、 原 発 の 近 くでは 数 百 年 〜 数 千 年 という 極 めて 長 い 期 間<br />

に 渡 って 環 境 汚 染 を 続 けるからである。したがって、その 長 期 動 向 【 汚 染 や 流 出 】の 予 測 を、 調 査 ・<br />

研 究 によって 向 上 させる 事 には 意 義 がある。ウラン 核 反 応 で 出 来 た 放 射 性 核 種 や 99 Tc【 核 反 応 の 副<br />

産 物 として 原 子 炉 で 出 来 る 放 射 性 核 種 で、 半 減 期 は21 万 年 】をあちこちで 測 定 して 回 ることが、チ<br />

ェルノブイリ 近 郊 の 汚 染 地 域 で 被 曝 予 防 に 直 接 役 立 つ 事 はないだろうが、それでも、 半 減 期 の 極 め<br />

て 長 い 放 射 性 核 種 が 環 境 の 中 でどのように 移 動 し、どのような 汚 染 を 引 き 起 こすかを 良 く 知 る 事 が<br />

できるようになるだろう。<br />

チェルノブイリ 冷 却 池 は 水 位 を 下 げて 行 く 予 定 だが、これによって、 池 の 生 態 系 が 変 化 する 上 、<br />

堆 積 物 が 露 出 し、 堆 積 物 中 の 放 射 性 核 種 や【 放 射 性 核 種 を 大 量 に 含 む】 燃 料 粒 子 が 今 までと 全 く 違<br />

った 動 き【 飛 散 など】を 始 める 恐 れがある。したがって 冷 却 池 に 関 しては 個 別 の 調 査 を 続 けるべき<br />

である。 水 位 を 下 げる 事 で 起 こる 色 々なプロセスをより 正 確 にする 為 には、とりわけ、 冷 却 池 のよ<br />

うな 特 殊 な 水 域 での 燃 料 粒 子 の 分 解 速 度 【 分 解 によって 放 射 性 核 種 が 飛 散 しやすくなる】をもっと<br />

研 究 する 必 要 がある。<br />

訳 注 87:モデルの 一 例 が 図 5.2( 外 部 被 曝 )と 図 5.12( 内 部 被 曝 )に 示 されている。さらに 被 曝 の<br />

推 定 を 超 えて、どういう 所 ( 例 えば 森 や 雨 樋 や 側 溝 の 近 く)を 避 けたら 被 曝 が 減 るかという 知 識<br />

を 得 る 事 ができる。<br />

3 章 の 参 照 文 献<br />

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