30.12.2014 Views

チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

SHOW MORE
SHOW LESS

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

前 述 のように【3.5.5 節 も 参 照 】、 放 射 性 核 種 の 地 下 水 を 介 した 移 動 速 度 は、 水 の 流 体 的 な 輸 送<br />

よりはるかに 遅 い。この 事 実 は、 暫 定 放 射 性 廃 棄 物 施 設 から 漏 出 された 放 射 性 核 種 の 大 半 が、 流 れ<br />

を 遅 らせる 各 種 要 因 と 地 質 化 学 過 程 の 為 に、 地 質 媒 体 内 に 蓄 積 されることを 意 味 する。 複 数 の 調 査<br />

が、 暫 定 放 射 性 廃 棄 物 施 設 周 辺 の 土 壌 と 地 質 媒 体 の 収 着 量 を 考 慮 し、 90 Sr のかなりの 部 分 がいまだ<br />

に 燃 料 粒 子 【 図 3.17 参 照 】と 結 合 しており、そのため 土 壌 中 の 間 隙 水 へ 放 出 されるのが 幾 年 も 遅 れ<br />

ているということを 示 した。その 結 果 、 地 下 水 中 の 放 射 性 核 種 濃 度 は、 90 Sr のように 移 動 性 の 高 い<br />

ものでも 非 常 に 低 い。プルトニウム 同 位 体 、およびそれらと 関 連 した 241 Am については、 十 分 に 調<br />

査 されていない。しかし、それらが 暫 定 放 射 性 廃 棄 物 施 設 の 敷 地 より 遠 くへ 移 動 する 可 能 性 が 無 視<br />

できる 事 実 はよく 知 られている( 図 7.11)。<br />

放 射 性 核 種 の 鉛 直 および 水 平 方 向 への 移 動 速 度 の 調 査 によると、 現 地 の 土 壌 の 場 合 は、 地 下 水 が<br />

放 射 性 核 種 によって 汚 染 される 危 険 性 は 低 い。その 事 実 に 伴 って、3.5 節 ( 図 3.58 参 照 )でも 論 じ<br />

たように、 将 来 的 にプリピャチ 川 がかなり 汚 染 される 危 険 性 は 低 減 される。ほとんどの 重 要 な 放 射<br />

性 廃 棄 物 施 設 からの 汚 染 地 下 水 の 先 端 が 地 域 の 表 層 水 に 到 達 するのは 100 年 のスケール、またはそ<br />

れ 以 上 であることが 示 されているため、この 問 題 は、プリピャチ 川 下 流 域 の 住 民 への 放 射 能 の 影 響<br />

被 害 としては 重 要 ではなくなった[7.17, 7.34]。しかし、CEZ において、 地 下 水 はいまだに 周 辺 環 境<br />

への 放 射 性 核 種 の 移 動 を 可 能 にする 重 要 な 汚 染 源 である。よって、 廃 棄 物 施 設 は 定 期 的 に 監 視 され、<br />

組 織 的 に 管 理 されなければならない。<br />

暫 定 施 設 の 長 期 戦 略 は、 関 連 して 生 じる 放 射 線 リスクの 管 理 に 関 係 する。その 究 極 の 目 標 は、 廃<br />

棄 物 を 処 分 するか、 暫 定 廃 棄 物 施 設 に 保 管 することで 137 Cs と 90 Sr を 充 分 に 閉 じ 込 め、 被 害 を 受 け<br />

る 可 能 性 のある 決 定 グループに 深 刻 な 影 響 を 生 じないうちに 減 衰 させることである。プリピャチ 川<br />

の 岸 近 くに 位 置 する 暫 定 放 射 性 廃 棄 物 施 設 は 洪 水 により 冠 水 しかねないため、 適 切 に 設 置 された 処<br />

分 施 設 へと、 廃 棄 物 を 回 収 し 移 動 させることが 好 ましい 戦 略 である。<br />

CEZ にある 暫 定 放 射 性 廃 棄 物 施 設 のうち、データベースが 未 知 の 施 設 や、 周 辺 の 地 下 水 や 表 層 水<br />

への 将 来 的 な 汚 染 可 能 性 が 把 握 できない 施 設 については、 放 射 性 壊 変 と 自 然 希 釈 を 考 慮 した 安 全 性<br />

評 価 を 実 施 する 必 要 がある。 汚 染 プルーム( 汚 染 水 塊 )の 移 動 および、その 主 要 水 源 ( 帯 水 層 、 河<br />

川 、 貯 水 池 、 原 発 および CEZ への 地 元 給 水 源 )との 境 界 面 に 対 しては、 信 頼 性 レベルが 高 い 評 価<br />

を 実 施 しなければならないことは 明 白 である。その 手 の 評 価 では、これらの 水 源 に 影 響 し 得 る 全 て<br />

の 放 出 源 を 考 慮 する 必 要 がある。<br />

安 全 性 評 価 の 結 果 は、 暫 定 施 設 における 適 切 な 除 染 策 、または 組 織 的 な 管 理 手 法 に 関 する 意 思 決<br />

定 の 一 助 になる。 数 百 年 後 の CEZ での 再 居 住 を 仮 定 すると、そのとき 様 々なシナリオで 生 じ 得 る<br />

被 ばくが 受 容 可 能 なレベル 内 に 抑 えられるように、 取 扱 い 可 能 な 廃 棄 物 の 受 け 入 れ 基 準 (たとえば<br />

放 射 能 濃 度 )も 設 定 する 必 要 がある。それらの 暫 定 処 分 施 設 では、 137 Cs と 90 Sr の 放 射 能 が 警 戒 に 値<br />

しないレベルまで 減 衰 する 数 百 年 間 は 組 織 的 な 管 理 を 維 持 することが 必 要 になることは 明 白 であ<br />

る。そのため、 監 視 、 復 旧 作 業 の 実 施 、そして 恐 らく 再 居 住 に 関 連 した 重 要 な 規 制 に 多 大 な 人 的 経<br />

済 的 資 源 が 必 要 となる。しかし、 長 期 にわたる 組 織 的 な 管 理 を、CEZ での 全 体 的 な 安 全 性 を 改 善 す<br />

る 復 旧 作 業 の 代 替 物 と 考 えるべきではない。<br />

252

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!