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チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

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7.1.5.2. 核 燃 料 含 有 物 【FCM】の 特 性 評 価<br />

FCM の 物 理 的 状 態 は 時 間 と 共 に 変 動 しているようである。FCM は 酸 化 を 始 めており、 酸 化 率 、<br />

粒 子 サイズおよび 挙 動 が 未 知 の 微 粒 子 状 物 質 に 分 解 しつつあるように 思 われる。もう 一 つの 関 連 し<br />

た 重 要 な 不 確 実 性 は、 石 棺 シェルター 内 の 粉 塵 分 布 についてであるが、 特 に、 施 設 を 長 期 間 運 用 す<br />

る 際 の NSC 内 の 粉 塵 分 布 に 関 する 不 確 かさがある。 長 期 的 な 石 棺 シェルター 変 化 における、(【 放<br />

射 性 物 質 の】 輸 送 や 吸 入 の 計 算 等 の) 環 境 への 影 響 評 価 は、ソースタームのパラメータに 関 する 仮<br />

定 によって 大 きく 変 わるため、これらのパラメータのさらなる 研 究 が 必 須 である。これは、 安 全 性<br />

評 価 の 結 果 や、 作 業 員 や 一 般 人 、そして 環 境 に 対 する 適 切 な 防 護 策 の 選 択 にあたっての 信 頼 性 の 向<br />

上 につながる。<br />

7.1.5.3. 核 燃 料 含 有 物 【FCM】の 除 去 と 地 層 処 分 施 設 の 開 発 の 同 時 進 行<br />

石 棺 シェルターの 安 定 化 と NSC の 建 設 は、かなり 大 量 の 長 寿 命 放 射 性 廃 棄 物 を 発 生 させる 筈 だ<br />

が、これら 廃 棄 物 の 中 には FCM を 含 むものもある。しかし、FCM の 除 去 は、 地 層 処 分 施 設 が 建 設<br />

され、 始 動 するまで 計 画 されていない。FCM および 長 寿 命 放 射 性 廃 棄 物 を 安 全 に 管 理 するには、<br />

それらの 長 期 管 理 戦 略 が 開 発 されなければならない。<br />

FCM の 除 去 を、 地 層 処 分 施 設 が 利 用 できるまで 延 期 する 技 術 的 な 理 由 はないと 結 論 できる。FCM<br />

の 除 去 は、 石 棺 シェルターの 不 安 定 構 造 物 を 解 体 した 後 に 開 始 し、 地 層 処 分 施 設 が 利 用 できるまで、<br />

チェルノブイリ 原 発 敷 地 で 放 射 性 廃 棄 物 の 処 分 前 の 管 理 や 暫 定 貯 蔵 を 行 うことになるだろう。 長 寿<br />

命 放 射 性 核 種 を 多 く 含 むため、 地 層 処 分 施 設 が 開 設 されるまで 待 ったとしても、 作 業 員 の 被 ばくに<br />

関 しては 大 きなメリットはないだろう。 回 収 する 時 期 が 今 でも 50 年 後 でも、FCM の 除 去 と 4 号 炉<br />

地 域 の 復 旧 には 遠 隔 操 作 による 回 収 と 放 射 性 廃 棄 物 管 理 技 術 が 必 要 になる。<br />

7.2. 事 故 起 源 の 放 射 性 廃 棄 物 の 管 理<br />

チェルノブイリ 原 発 敷 地 とその 近 隣 地 区 の 除 染 活 動 中 に 発 生 した 大 量 の 放 射 性 廃 棄 物 は、CEZ<br />

内 で 原 発 敷 地 から 0.5~15 km の 距 離 ( 図 7.8)に 位 置 する 暫 定 的 浅 地 中 廃 棄 物 貯 蔵 施 設 に 蓄 えられ<br />

ている。 事 故 後 の 除 染 により 発 生 した 放 射 性 廃 棄 物 用 に、トレンチ 式 、または 埋 め 立 て 式 の 暫 定 廃<br />

棄 物 貯 蔵 施 設 が 1986 年 から 1987 年 にかけて 複 数 建 設 されたが、それらの 目 的 は、 粉 塵 の 飛 散 防 止 、<br />

放 射 線 レベルの 低 減 、そして 4 号 炉 と 周 辺 での 作 業 条 件 の 改 善 にあった。しかし、これらの 施 設 は、<br />

現 代 的 な 廃 棄 物 安 全 要 件 として 必 要 な、 適 切 な 設 計 書 類 、 適 切 に 設 計 施 工 された 防 護 壁 、または 水<br />

文 地 質 学 的 調 査 なしで 建 設 された。<br />

事 故 後 の 長 い 年 月 において、 現 存 する 放 射 性 廃 棄 物 を 管 理 するための 系 統 的 な 解 析 と 受 容 可 能 な<br />

戦 略 を 供 する 目 的 で、 経 済 および 人 的 資 源 が 拡 大 された。しかし、 幾 つかのウクライナの 研 究 [7.20]<br />

に 報 告 されているように、チェルノブイリ 原 発 敷 地 および CEZ での 放 射 性 廃 棄 物 、 特 に 高 レベル<br />

長 寿 命 廃 棄 物 の 管 理 に 関 する、 広 く 受 け 入 れられた 戦 略 は、 今 日 に 至 るまで 開 発 されていない。そ<br />

の 理 由 の 一 つは、 放 射 性 廃 棄 物 貯 蔵 および 処 分 施 設 の 数 や 面 積 が 膨 大 で、 精 査 され、 情 報 が 整 理 さ<br />

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