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チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

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パの 河 川 ・ 湖 沼 のいくつか)に 関 しては、 90 Srと 137 Csによる 将 来 の 汚 染 状 況 の 予 測 をより 正 確 にす<br />

るために、 放 射 能 汚 染 を 継 続 的 にモニタリングしつづける 必 要 がある。 測 定 対 象 は 水 、 水 底 堆 積 物 、<br />

魚 であり、それを 今 後 も 続 ける 事 で、 今 までの 放 射 能 測 定 と 合 わせて、 事 故 以 来 の 長 期 データが 得<br />

られる 事 になる。データの 取 得 期 間 が 長 ければ 長 い 程 、 水 圏 での 放 射 性 核 種 の 濃 度 を 予 測 するモデ<br />

ルも、より 正 確 になる。<br />

現 在 、 90 Srや 137 Csに 比 べて 放 射 線 被 曝 上 大 きな 影 響 を 与 えていない 超 ウラン 元 素 【プルトニウム<br />

などのウランより 質 量 の 大 きな 元 素 】については、チェルノブイリ 事 故 による 汚 染 の 酷 い 地 域 で 調<br />

べる 必 要 がある。このような 調 査 は、 非 常 に 長 い 期 間 ( 数 百 年 から 数 千 年 )にわたる 環 境 汚 染 の 予<br />

測 を 改 善 するのに 役 に 立 つ。 超 ウラン 元 素 や 99 Tc(テクネチウム99【 核 反 応 の 副 産 物 として 原 子 炉 で<br />

出 来 る 放 射 性 核 種 で、 半 減 期 は21 万 年 】をあちこちで 測 定 して 回 ることが、チェルノブイリ 近 郊 の<br />

汚 染 地 域 で 被 曝 予 防 に 直 接 役 立 つ 事 はないだろうが、それでも、 半 減 期 の 極 めて 長 い 放 射 性 核 種 が<br />

環 境 の 中 でどのように 移 動 し、どのような 汚 染 を 引 き 起 こすかを 良 く 知 る 事 ができるようになるだ<br />

ろう。<br />

チェルノブイリ 冷 却 池 は 水 位 を 下 げて 行 く 予 定 だが、これによって、 池 の 生 態 系 が 変 化 する 上 、<br />

堆 積 物 が 露 出 し、 堆 積 物 中 の 放 射 性 核 種 や( 放 射 性 核 種 を 大 量 に 含 む) 燃 料 粒 子 が 今 までと 全 く 違<br />

った 動 き【 飛 散 など】を 始 める 恐 れがある。したがって 冷 却 池 に 関 しては 個 別 の 調 査 を 続 けるべき<br />

である。 水 位 を 下 げる 事 で 起 こる 色 々なプロセスをより 正 確 にする 為 には、とりわけ、 冷 却 池 のよ<br />

うな 特 殊 な 水 域 での 燃 料 粒 子 の 分 解 速 度 【 分 解 によって 放 射 性 核 種 が 飛 散 しやすくなる】をもっと<br />

研 究 する 必 要 がある。<br />

訳 注 7:この 細 節 は3.7 節 と 全 く 同 じ 内 容 で 文 章 もほとんど 同 一 である。<br />

訳 注 8:モデルの 一 例 が 図 5.2( 外 部 被 曝 )と 図 5.12( 内 部 被 曝 )に 示 されている。 加 えて、どうい<br />

う 所 を 避 けたら 被 曝 が 減 るかという 知 識 ( 例 えば 森 や 雨 樋 や 側 溝 が 危 ない)を 得 る 事 ができる。<br />

訳 注 9: 森 林 は 農 地 と 違 ってなかなか 汚 染 が 収 まらない(3.4.3 節 参 照 )。<br />

1.3. 環 境 への 対 策 と 修 復<br />

チェルノブイリ 事 故 以 後 、ソ 連 の 関 係 部 局 は、 環 境 汚 染 による 被 曝 を 減 らすための 短 期 対 策 ・ 長<br />

期 対 策 を 数 多 く 実 施 した。 環 境 汚 染 対 策 のために 多 くの 人 と 大 量 の 資 金 と 多 くの 科 学 資 源 【 研 究 施<br />

設 】が 投 入 された。ただし、 残 念 ながら、ソ 連 当 局 の 行 動 はあまり 公 開 されず、 透 明 性 も 不 十 分 で、<br />

情 報 が 国 民 に 届 かなかった。こういう 経 緯 は、 政 府 と 国 民 との 間 で 起 こったコミュニケーションの<br />

問 題 や、 国 民 の 政 府 当 局 に 対 する 不 信 感 の 一 因 となったようである。ロシア、ベラルーシ、ウクラ<br />

イナ 以 外 の 国 々でも、 類 似 した【 情 報 を 公 開 しない】 振 る 舞 いがあって、それが 当 局 への 不 信 感 を<br />

招 いた。その 結 果 、 多 くの 国 々で、このような 重 大 事 故 での 対 処 法 が 検 討 されるようになった。 検<br />

討 内 容 は、 重 大 事 故 に 際 して、いかに 情 報 を 十 分 に 公 開 し、 事 故 対 策 の 決 定 を 透 明 にしながら 事 故<br />

に 対 処 していくかであり、 同 時 に 対 策 などを 決 める 際 のプロセスに、いかに 被 害 者 を 参 入 させるか<br />

である。<br />

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