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チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

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表 4.5. 旧 ソ 連 3ヶ 国 で 実 施 された 各 種 対 策 と、それによって 達 成 された 放 射 性 核 種 の 低 減 率 【 何 分<br />

の1に 減 ったか】[4.30, 4.34, 4.40, 4.45]<br />

セシウム 137 ストロンチウム 90<br />

通 常 の 耕 耘 (1 年 次 ) 2.5-4.0 -<br />

表 層 剥 ぎ 取 り、 埋 め 戻 し 耕 耘 8-16 -<br />

石 灰 まき 1.5-3.0 1.5-2.6<br />

鉱 物 肥 料 使 用 1.5-3.0 0.8-2.0<br />

有 機 肥 料 使 用 1.5-2.0 1.2-1.5<br />

基 礎 改 良 :<br />

第 1 回 目 1.5-9.0 a 1.5-3.5<br />

2 回 目 以 降 2.0-3.0 1.5-2.0<br />

表 面 的 改 良 :<br />

第 1 回 目 2.0-3.0 a 2.0-2.5<br />

2 回 目 以 降 1.5-2.0 1.5-2.0<br />

家 畜 飼 料 用 穀 物 の 変 更 3-9 -<br />

汚 染 されていない 飼 料 の 使 用 2-5( 時 間 に 依 存 ) 2-5<br />

セシウム 結 合 剤 の 投 与 2-5 -<br />

ミルクからバターへの 加 工 4-6 5-10<br />

菜 種 から 菜 種 油 への 加 工 250 600<br />

a<br />

泥 炭 湿 地 の 場 合 、 排 水 により 最 大 15 の 減 少 係 数<br />

訳 注<br />

粗 放 農 業 は 西 ヨーロッパでは 高 原 などで 行 われているが 24 、 勝 手 に 動 き 回 る 放 家 畜 に 対 する 放<br />

射 能 対 策 として 最 も 共 通 するのは 次 の5つである: 餌 除 染 法 、セシウム 結 合 剤 ( 紺 青 など)の 投 与 、<br />

飼 育 中 の 放 射 能 検 査 、 飼 育 管 理 における 規 制 、 屠 殺 時 期 の 変 更 。これらの 対 策 の 多 くは2004 年 時 点<br />

でも 行 われている。 長 期 を 見 据 えた 放 射 能 対 策 は、ノルウェーやスウェーデンで 最 も 大 規 模 に 実 施<br />

され、 他 にイギリスやアイルランドでも 実 施 されてきた。<br />

AFCFは 六 シアノ 鉄 酸 塩 【 紺 青 】の 化 合 物 で、セシウムとの 結 合 効 果 が 高 く、【 動 物 が 蓄 積 する】<br />

放 射 性 セシウムを、 羊 やトナカイの 肉 で5 分 の1に、 牛 乳 で3 分 の1に、 山 羊 からのミルクで5 分 の1に<br />

訳 注<br />

低 める。AFCFは 今 のところ 欧 州 連 合 プラス 数 ヶ 国 で 使 用 が 認 められている 25 。AFCFはセシウム<br />

結 合 剤 として 粗 放 農 業 に 有 効 であるが、 他 の 農 業 対 策 は 粗 放 農 業 ではあまり 効 果 がない。 粗 放 農 業<br />

の 中 でも、 何 日 もほったらかしにする 自 由 放 牧 となると、ボリ【boli】が 向 いている。というのも、<br />

動 物 が 定 期 的 に 集 められる 時 にボリを 投 与 すればよいからである。その 場 合 、ボリは 表 面 をワック<br />

スで 保 護 された 状 態 で 投 与 される。それによりAFCFの 効 果 が 始 まるのを 遅 らせることができ、 後<br />

に 屠 殺 のために 再 び 集 められる 時 点 で、 投 与 の 効 果 がでるように 設 定 できる[4.47]。 羊 の 場 合 、ボ<br />

リを 使 えば、 餌 除 染 法 の4 割 のコストで 同 様 の 効 果 が 出 ると 推 定 されている[4.48]。AFCFを 含 む 塩<br />

塊 も 使 われてきたが、 効 果 はボリほどなかった[4.49]。<br />

放 射 能 汚 染 地 域 での 動 物 管 理 も 修 正 されてきた。 例 えば 屠 殺 だが、 137 Csの 放 射 能 が 比 較 的 低 くな<br />

るように 屠 殺 時 期 が 変 更 された。イギリスでは 高 原 の 羊 の 移 動 や 屠 殺 がいくつかの 地 域 で 制 限 され<br />

るようになった。 家 畜 の 飼 育 時 の 放 射 能 検 査 も 行 われるようになり、それによって 137 Csの 放 射 能 が<br />

屠 殺 前 に 安 全 基 準 値 以 下 になるように 安 全 性 が 確 保 されている。<br />

畜 産 品 の 放 射 能 追 跡 検 査 ( 家 畜 の 飼 育 時 での 検 査 と、 原 乳 検 査 、 屠 殺 肉 の 各 組 織 の 検 査 )により、<br />

放 射 能 対 策 の 有 効 性 が 確 認 されている。 放 射 能 検 査 は、 汚 染 地 域 での 一 般 国 民 の 信 頼 を 維 持 する 為<br />

にも 重 要 である。<br />

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