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チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

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4.3.2. 中 期 対 策 【 半 年 後 以 降 】<br />

農 産 物 の 放 射 能 調 査 によると、1986 年 の 終 わりまでに 旧 ソ 連 の12の 州 で 放 射 性 セシウムが 安 全<br />

基 準 値 を 超 えていた。 内 訳 はロシアがブリャンスク 州 【Bryansk】、トゥーラ 州 【Tula】、カルーガ 州<br />

【Kaluga】、オリョール 州 【Orel】、ウクライナがキエフ 州 【Kiev)、ズトミュール 州 【Zhytomyr】、<br />

リウネ 州 【Rovno】、ボルイニ 州 【Volyn】、チェルニッフ 州 【Chernigov】、ベラルーシがゴメリ 州 【Gomel】、<br />

モギレフ 州 【Mogilev】、ブレスチ 州 【Brest】である。 中 でもGomel、Mogilev、Bryansk、Kiev、Zhytomyr<br />

の5 州 は 汚 染 が 深 刻 だった。これら5 地 域 では、 事 故 後 一 年 間 、 穀 物 と【 牛 乳 などの】ミルクの 約 80%<br />

が 安 全 基 準 値 を 超 えていた[4.3, 4.7, 4.26]。<br />

1990 年 代 初 頭 のウクライナで10 万 1285ヘクタールにおよぶ 農 地 の 使 用 が 中 止 された(このうち 約<br />

30%の 面 積 で 137 Cs 汚 染 が 依 然 として555kBq/m 2 以 上 であった)【555kBq/m 2 以 上 とは3 章 の 分 類 で 高 濃<br />

度 汚 染 に 相 当 する】。これらの 地 域 では、 個 人 所 有 の 牛 は 居 住 地 からの 避 難 の 際 に 人 々と 一 緒 に 移<br />

動 した。 移 転 しなかった 人 々には、 集 団 農 場 や 汚 染 されていない 地 域 で 生 産 された 非 汚 染 食 品 が 提<br />

供 された。<br />

ロシアでは1987 年 や1988 年 も、 家 畜 の 避 難 が1986 年 以 上 に 進 められたが、 避 難 の 実 施 地 はウクラ<br />

イナに 比 較 してピンポイント 的 に 選 ばれた。555kBq/m 2 以 上 の 地 域 の 羊 は 全 て 処 分 された。という<br />

のも 反 芻 動 物 は 他 の 動 物 よりも 放 射 性 セシウムを 吸 収 しやすいからである。555 kBq/m 2 以 上 の 地 域<br />

の 牛 については、6880 頭 が 処 分 された 一 方 で、 多 くの 所 有 者 が 飼 い 続 けていた。<br />

ベラルーシでは、1989 年 になって、52の 集 落 が 移 転 する 事 になった。 除 染 が 不 十 分 で、しかも 放<br />

射 能 対 策 そのものも 不 十 分 であることが 判 明 したからである。1991 年 に2つの 法 律 が 新 しく 可 決 さ<br />

れ、より 多 くの 人 が 汚 染 地 域 の 外 へ 移 住 できるようになり、 更 にいくつかの 集 落 が 移 転 した<br />

訳 注 14 。<br />

結 局 、 全 部 で470の 集 落 が 移 転 した。 可 能 な 限 り 家 畜 も 一 緒 に 移 動 した。<br />

放 射 能 汚 染 地 域 での 対 策 には2つの 達 成 目 標 があった。1. 安 全 基 準 値 以 下 の 食 料 生 産 を 確 保 し、<br />

住 民 の 被 曝 量 を1 mSv/y 以 下 にする。2. 農 作 物 の【 土 壌 から 取 り 込 まれる】 放 射 性 核 種 の 量 を 最 小<br />

限 に 抑 える。 一 般 に、 農 業 対 策 が 早 く 行 われるほど、 対 策 費 用 が 安 く 済 む[4.33]。<br />

事 故 翌 年 の1987 年 には【 既 に 汚 染 がかなり 収 まって】、 放 射 性 セシウムに 高 濃 度 に 汚 染 された 農<br />

産 品 といえば、 畜 産 物 に 限 られるようになった。そこで、【 牛 乳 などの】ミルクおよび 食 肉 中 の 137 Cs<br />

濃 度 を 減 らす 為 の 対 策 が 農 業 対 策 の 焦 点 となった。 一 方 、ジャガイモや 根 菜 類 の 放 射 性 セシウム 濃<br />

度 は 十 分 に 低 い 値 に 収 まっていた。 穀 物 でも、1987 年 の 段 階 で、 放 射 性 セシウムの 濃 度 は 事 故 の 年<br />

【1986 年 】よりはるかに 低 くなり、 加 えて 農 作 物 への 放 射 能 対 策 により、ほとんどの 穀 物 の 放 射 能<br />

汚 染 が 安 全 基 準 値 以 下 になった。 上 記 3ヶ 国 で 収 穫 された370 Bq/kgを 超 える 穀 類 は、1991 年 には<br />

0.1% 以 下 となった。<br />

残 っている 課 題 で 一 番 難 しいものは、【 牛 乳 などの】ミルクの 品 質 を 落 とさないまま 量 を 確 保 す<br />

ることであった。 幸 い、 大 規 模 対 策 【 次 節 4.3.3】が 実 施 され、 放 射 性 セシウム 汚 染 が 安 全 基 準 値 以<br />

上 の 畜 産 物 は、 旧 ソ 連 の3ヶ 国 とも 急 減 した。 安 全 基 準 値 を 超 えるミルクや 食 肉 の 量 の 時 間 経 過 は<br />

図 4.2に 示 されている。ちなみに、 年 を 追 って 安 全 基 準 値 そのもの 厳 しくなっているため【しかも 各<br />

国 でバラバラ】、 安 全 基 準 値 を 超 えた 畜 産 品 の 量 は、そのまま 比 較 することはできない。これらの<br />

3ヶ 国 の 安 全 基 準 値 は 図 4.3に 示 されている。<br />

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