30.12.2014 Views

チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復 ... - 日本学術会議

SHOW MORE
SHOW LESS

Create successful ePaper yourself

Turn your PDF publications into a flip-book with our unique Google optimized e-Paper software.

細 胞 の 発 生 数 が 第 1 世 代 よりも 第 2,3 世 代 の 方 が 高 いことがわかった。<br />

図 6.6.: 放 射 能 の 影 響 を 受 けた 針 葉 樹 でしばしば 見 られる 変 異 。 多 くの 植 物 で 急 成 長 や 部 分 的 な 巨 大<br />

化 が 見 られる[T. Hilton 氏 による 写 真 提 供 、1991 年 ]<br />

1986 年 から 1992 年 にかけて、CEZ 内 のシロイヌナズナ【Arabidopsis thaliana】 群 落 の 突 然 変 異 の<br />

動 態 について 研 究 がなされた[6.37]。すべての 研 究 対 象 地 点 で、 事 故 発 生 後 2,3 年 の 間 はシロイヌ<br />

ナズナ 群 落 で 突 然 変 異 の 程 度 が 増 加 した。 後 年 は 致 死 突 然 変 異 の 数 は 減 少 したにもかかわらず、<br />

1992 年 の 突 然 変 異 発 生 率 は 自 然 状 態 での 発 生 率 に 比 べて 依 然 として 4 倍 から 8 倍 高 かった。 発 生 率<br />

の 被 曝 線 量 に 対 する 相 関 は 指 数 1 以 下 のべき 乗 関 数 で 近 似 できた。<br />

Zainullin ら[6.38]はチェルノブイリ 事 故 によってバックグラウンド 放 射 線 量 の 高 い 地 区 で 生 存 し<br />

ている 天 然 のキイロショウジョウバエで 伴 性 劣 性 致 死 突 然 変 異 の 数 が 増 加 していることを 発 見 し<br />

た。 初 期 の 照 射 線 量 率 が 2 mGy/h 以 上 に 汚 染 されていた 地 域 に 生 息 していたハエの 突 然 変 異 の 発 生<br />

数 は、1986 年 から 1987 年 にかけて 増 加 していた。 続 く 2 年 の 間 に 突 然 変 異 の 発 生 率 は 正 常 値 へと<br />

徐 々に 回 復 した。<br />

野 生 のマウスを 用 いて 遺 伝 的 悪 影 響 を 調 べた 研 究 が Shevchenko 等 [6.39]と Pomerantseva 等 [6.40]<br />

によって 報 告 された。 対 象 となったマウスは、1986 年 から 1991 年 にかけて、チェルノブイリ 原 子<br />

炉 から 半 径 30 km 以 内 でガンマ 線 量 レベルが 異 なる 複 数 の 地 区 から 捕 獲 したもの、ならびに、1992<br />

年 から 1993 年 にかけてロシア 連 邦 ブリャンスク 州 のある 地 点 で 捕 獲 したものであった。ガンマ 線<br />

とベータ 線 の 推 定 総 線 量 は 場 所 によって 異 なり、1986〜1987 年 に1ヶ 月 当 たり 3-4 Gy に 達 した 場<br />

所 もある。 評 価 項 目 として 優 性 致 死 率 があり、これはオスの 野 生 マウスと 被 曝 していないメスの 実<br />

験 用 マウスを 交 尾 させてできた 子 孫 の 胎 児 死 亡 率 から 求 めた。 最 も 放 射 能 汚 染 の 激 しい 地 区 で 捕 獲<br />

したマウスでは、 捕 獲 後 数 週 間 は 優 性 致 死 率 が 上 昇 した。 線 量 率 が 2mGy/h の 地 区 で 捕 獲 したマウ<br />

スについては、122 匹 中 2 匹 のオスは 子 孫 を 作 ることが 無 く、 生 殖 能 力 不 全 であると 推 察 された。<br />

219

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!