Glyphs 2.3

10 PostScriptヒンティング
10.1 ヒンティング
PostScript ヒンティングは 低 解 像 度 下 でのPostScript フォントの 見 た 目
を 改 善 する 技 術 のことで、CFFベースのOpenTypeフォント( 拡 張 子 は 通
常 .otf)に 対 して 設 定 することができます。
フォントをデジタル 画 面 上 でピクセルに 落 とし 込 む 役 割 はラスタライ
ザーというソフトウェアが 担 います。PostScriptフォントでは、フォント
単 体 があらゆる 機 能 を 担 うことは 困 難 だと 考 え、ピクセル 化 の 作 業 につい
てはラスタライザーが 独 自 に 判 断 することになっています。しかしフォン
トにその 判 断 の 補 助 となる 情 報 (ヒント)を 埋 め 込 むことで、ラスタライ
ズの 結 果 を 改 善 することができます。
ヒンティング 情 報 のほとんどは、グリフのどの 部 分 が 重 要 であるか、 逆
にどの 部 分 を 小 サイズ 時 に 犠 牲 にしてよいかを 定 義 するものです。これを
実 現 するために2 種 類 のヒントが 存 在 します。まずはフォント 全 体 に 適 用
されるヒントで、「フォントレベルのヒント」や「フォント 全 体 のヒント」
などと 呼 ばれます。フォントのステム 値 やアラインメントゾーンがその 例
です。2つ 目 は 各 グリフに 埋 め 込 まれ、アウトラインを 変 形 させてピクセ
ルのグリッド 上 に 載 せるための 情 報 で、「グリフレベルのヒント」などと 呼
ばれます。グリフレベルのヒントにはステムヒントやゴーストヒントがあ
ります。
もっとも 効 率 がよい 方 法 はフォントレベルのヒント 関 連 情 報 をしっか
り 定 義 し、その 後 グリフレベルのヒンティングはオートヒンティングに 任
せることです。
ヒンティングは、フォント 内 のステム 幅 が 規 則 的 であるなど、 一 貫 し
たデザインがある 場 合 にのみ 有 効 です。 手 書 き 風 や 絵 文 字 、 装 飾 用 ボー
ダー、ラフなテクスチャのあるフォントのようにアウトラインがきわめて
イレギュラーになる 場 合 、ヒンティングは 役 に 立 ちません。また 高 解 像 度
のディスプレイやMac OSX、iOSなどヒンティング 情 報 が 無 視 される 環 境
では、ヒンティングはファイルサイズの 無 駄 にしかなりません。このよう
な 場 合 、ヒンティング 情 報 を 付 加 しないことをお 勧 めします。
PostScript ヒンティングの 目 標 は 低 解 像 度 下 で 一 貫 性 の 高 いシャー
プな 文 字 を 表 示 するということを 忘 れないでください。つまりラスタライ
ザーは 与 えられたサイズ 内 でアウトラインを 変 形 させ、ピクセルグリッド
上 に 表 示 させます。また 別 の 言 い 方 をすれば、ヒンティングの 仕 事 とは 形
を 守 ることではなく、その 真 逆 であるということです。もしいかなる 場 合
でもアウトラインの 変 形 を 望 まない 場 合 ( 例 えばストロークが 連 綿 するス
クリプト 書 体 など)、ヒンティング 機 能 は 使 用 しない 方 が 得 策 でしょう。
Glyphsハンドブック2016 年 11 月 版
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