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医療機関における精神障害者の 就労支援の実態についての調査研究

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第 1 章 目 的 と 方 法第 1 章 目 的 と 方 法第 1 節 問 題 意 識近 年 、 精 神 疾 患 の 患 者 数 が 増 加 しており、かつ 地 域 移 行 が 進 む 中 で、 就 労 意 欲 のある 精 神 障 害 者 が 増 加 している。 実 際 、ハローワークにおいても、 精 神 障 害 者 の 求 職 者 は 年 々 増 加 しており、また、 平 成 18 年 度 から企 業 の 雇 用 率 に 特 例 的 に 算 定 されるようになったことを 受 け、 企 業 の 精 神 障 害 者 の 雇 用 も 進 みつつあり、 平成 22 年 度 は 約 1 万 人 の 者 が 従 業 員 56 人 以 上 の 規 模 の 企 業 に 雇 用 されている( 平 成 22 年 度 障 害 者 雇 用 状 況報 告 )。精 神 障 害 は 就 職 後 も 治 療 状 況 、 生 活 場 面 や 職 業 場 面 での 環 境 的 状 況 等 により 症 状 変 化 の 可 能 性 があるため、職 業 リハビリテーションでは 特 に 医 療 機 関 との 連 携 が 重 要 である。 従 来 から 労 働 行 政 において「 医 療 機 関 等との 連 携 によるジョブガイダンス 事 業 」を 実 施 するなど 医 療 機 関 との 連 携 に 努 めてきたところである。その 一 方 で、 精 神 障 害 のある 人 の 生 きがいや 生 活 の 質 の 支 援 のためには 就 労 支 援 の 意 義 が 大 きく、 医 療 機関 においても 就 労 支 援 に 力 を 入 れている 機 関 が 増 えてきているものの、その 実 態 は 明 らかになっていない。労 働 機 関 を 中 心 とした 取 組 と 医 療 機 関 を 中 心 とした 取 組 を、それぞれの 専 門 性 を 活 かしつつ 効 果 的 に 連 携させることが、 精 神 障 害 のある 人 への 就 労 支 援 における 重 要 な 課 題 となっている。第 2 節 精 神 障 害 の 特 性 と 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 連 携 の 必 要 性精 神 障 害 の 就 労 支 援 において 医 療 機 関 との 関 わりが 重 要 となる 根 本 的 な 原 因 は、 精 神 障 害 が 固 定 した 障 害ではなく、「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 両 面 が 複 雑 に 相 互 作 用 する 特 性 があるからである。1 精 神 障 害 の 障 害 構 造 の 特 徴精 神 障 害 は、 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 の 疾 患 種 類 にかかわらず、 程 度 の 差 はあれ、 慢 性 疾 患 としての 特 徴 がある。そのため、 一 面 では 医 学 的 治 療 を 要 する「 疾 病 性 」があり、 別 の 面 では 生 活 や 人 生 の 問題 への 支 援 を 要 する「 障 害 性 」を 有 している。(1) 慢 性 疾 患 としての 精 神 障 害予 防 医 学 の 予 防 の 概 念 では、カプランのいう 第 1 次 予 防 ( 疾 病 の 予 防 。 健 康 への 啓 発 、 健 康 増 進 、 特 殊 予防 、 例 えば 教 育 、 予 防 接 種 など)、 第 2 次 予 防 ( 重 症 化 の 防 止 や 疾 病 の 早 期 発 見 と 早 期 措 置 、 適 切 な 医 療 と 合併 症 対 策 、 例 えば 健 康 診 断 や 治 療 など)、 第 3 次 予 防 ( 疾 病 の 再 発 防 止 、 例 えばリハビリテーションなど)に分 けられる。このような 概 念 の 元 、 医 療 機 関 で 行 われる 通 常 の 治 療 は 第 2 次 予 防 、そして 医 学 的 リハビリテーションは 第 3 次 予 防 に 位 置 づけられる。 医 療 機 関 が 精 神 障 害 者 に 対 して 生 活 支 援 や 就 労 支 援 を 行 う 場 合 、精 神 科 リハビリテーションという 第 3 次 予 防 と 位 置 づけられてきた( 図 1-1)。ただし、 第 1 次 予 防 、 第 2 次 予 防 、 第 3 次 予 防 の 概 念 は 急 性 疾 患 の 自 然 史 を 背 景 にしたものであり、 疾 患が 完 治 しにくかったり、 再 発 ・ 再 燃 の 可 能 性 が 残 存 する 精 神 疾 患 のような 慢 性 疾 患 ではそれらが 段 階 的 に 推移 することはなく、むしろ 並 行 的 に 実 施 されることが 特 徴 となる。-7- - 7 -

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