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医療機関における精神障害者の 就労支援の実態についての調査研究

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第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態る。また、 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 は 回 答 しやすいが、 就 労 支 援 の 実 施 のない 機 関 では 回 答 されにくかったという 可 能 性 がある。そこで、そのような 回 答 の 偏 りの 可 能 性 を 考 慮 して、 本 研 究 においては、 調査 回 答 を 回 答 結 果 から、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 と、そうでない 機 関 に 分 けて、それぞれの 分 析 結 果 をみることにより、その 両 方 の 傾 向 を 踏 まえた 総 合 的 理 解 となるように 心 がけた。したがって、 本 調 査 の 回 答 では 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 は 45%となっているが、それはわが 国 の 医 療 機 関 全 体 での 割 合 を 示 すものでない。(2) 支 援 状 況 と 職 業 的 課 題 の 解 決 可 能 性 の 自 己 評 価 の 限 界本 調 査 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 を、 医 療 機 関 等 の 支 援 者 が 判 断 して 回 答 している。 就 労支 援 の 取 組 の 成 果 指 標 としてそれを 活 用 するにあたっては、それが 支 援 者 による 自 己 評 価 であることからの限 界 が 考 えられる。つまり、 就 労 支 援 の 取 組 と 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決 との 関 係 が 支 援 者 の「 支 援 を 実 施 しているのだから 課 題 は 解 決 できているはず」という 主 観 的 な 関 係 づけを 反 映 している 可 能 性 が 考 えられる。しかし、 多 くの 支 援 については 課 題 解 決 と 関 係 が 認 められていない 一 方 で、 特 に 関 係 性 が 認 められたものについては、 一 定 の 合 理 的 説 明 が 可 能 であることから、 支 援 効 果 としての 解 釈 には 一 定 の 妥 当 性 があると 考 えた。(3) 疾 患 と 支 援 内 容 を 対 応 させた 調 査 ではない医 療 機 関 においては 様 々な 疾 患 を 対 象 としている 場 合 が 多 く、 本 研 究 において、 対 象 疾 患 の 違 いについて言 及 している 部 分 は、あくまでも 各 疾 患 への 日 常 的 対 応 の 多 少 による 機 関 の 特 徴 の 違 いについて 言 及 したものであることに 注 意 が 必 要 である。3 わが 国 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 への 取 組 の 可 能 性本 調 査 により、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 による 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 への 取 組 の 実 態 の 把 握 、 海 外 でEBP( 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 )とされてきた 内 容 についての、わが 国 における 妥 当 性 や 具 体 例 の 確 認 、 効果 的 就 労 支 援 における 医 療 機 関 自 らの 取 組 や、 外 部 就 労 支 援 機 関 との 協 力 の 重 要 性 の 確 認 ができた。これらに 基 づき、わが 国 の 状 況 に 応 じた、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 に 向 けた 取 組 について 検 討 する 必 要 がある。(1) 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 への 取 組 の 多 様 性精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 モデルについて、 第 2 章 において 海 外 の 状 況 を 調 べた 結 果 でも、 様 々な 考 え 方 や 取組 があることが 示 されていたが、わが 国 の 医 療 機 関 においても、 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 のあり 方 についての 方 針 や 具 体 的 な 取 組 は 大 きく 分 かれていた。わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 就 労 支 援 への 取 組 を 検 討 する 場 合には、 少 なくとも 次 の3つの 類 型 に 大 きく 分 かれることを 想 定 することが 必 要 である。ア 診 断 治 療 に 特 化 している 医 療 機 関 ( 小 規 模 診 療 所 、 専 門 医 等 )多 くの 医 療 機 関 は 小 規 模 で 医 師 中 心 で 診 断 治 療 に 特 化 しており、 疾 患 自 己 管 理 支 援 や 生 活 支 援 等 の 取 組 は少 なく、 患 者 の 就 労 問 題 についても 十 分 に 把 握 されていない 場 合 が 多 い。イ 医 療 ・ 生 活 支 援 に 取 り 組 んでいるが 就 労 支 援 との 統 合 に 課 題 のある 医 療 機 関医 師 以 外 のコメディカルスタッフを 雇 用 し、 退 院 支 援 やデイケア 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 への 取 組 の 一 環 として 就 労 問 題 の 認 識 が 高 まっているが、 就 労 支 援 との 統 合 が 不 十 分 であり 未 解 決 課 題 が 多 くなっている。-124- - -

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