医療機関における精神障害者の 就労支援の実態についての調査研究
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第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態IPS の 原 則 にある、「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統 合 」「 本 人 ニーズに 基 づく 決 定 」「 継 続 的 支 援 」も、 精 神 障 害 者 が 就 職 ・ 復 職 後 も 直 面 する 疾 患 自 己 管 理 等 の 課 題 への 支 援 の 必 要 性 として 理 解 できる。エ 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進また、 上 記 全 てに 関 連 することとして、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 を 促 進 するための、 就 労 支 援 者の 位 置 づけ、 両 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション、ケース 会 議 等 の 実 施 は、 就 職 前 から 就 職 後 までの 課 題に 対 して 効 果 があった。IPS の 原 則 にある、「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統 合 」については、このような 具 体 的 な 連 携 促 進の 取 組 として 理 解 することができる。(3) 医 療 ・ 生 活 支 援 の 重 要 性今 回 の 調 査 で、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 が、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 職 業的 課 題 に 効 果 があることが 示 された。その 一 方 で、 疾 患 自 己 管 理 支 援 は 必 ずしも 全 ての 精 神 科 医 療 機 関 において 実 施 されていないことも 示 された。また 上 述 のように 医 療 機 関 自 らの 取 組 が 効 果 的 な 就 労 支 援 もあった。これらのことから、 精 神 障 害 者 が 利 用 している 医 療 機 関 が 診 断 治 療 中 心 である 場 合 等 、 効 果 的 な 就 労 支 援を 実 施 するためには、 疾 患 自 己 管 理 支 援 への 取 組 を 含 む、 様 々な 医 療 ・ 生 活 面 の 支 援 機 能 のある 医 療 機 関 との 連 携 も 重 要 となることが 考 えられる。(4) 医 療 機 関 のニーズへの 雇 用 支 援 制 度 等 の 対 応 の 可 能 性精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 として 効 果 のある 様 々な 取 組 について、 医 療 機 関 において「 患 者 にとっては 必 要 だが 実 施 なし」とされている 場 合 が 多 い 取 組 が 多 くあった。また、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 協 力 や 連 携 が効 果 的 な 取 組 について、 医 療 機 関 だけ、あるいは、 就 労 支 援 機 関 だけの 取 組 となっていたり、 連 携 への 取 組に 課 題 があり 十 分 に 機 能 していない 場 合 もあった。一 方 、わが 国 の 労 働 側 の 様 々な 雇 用 支 援 制 度 について、 医 療 機 関 において 精 神 保 健 福 祉 士 等 によりその 存在 は 知 られていても、 実 際 の 活 用 経 験 が 非 常 に 少 ないことも 判 明 した。また、それらの 雇 用 支 援 制 度 について 今 後 活 用 したいとの 意 向 も 強 かった。これらの 雇 用 支 援 制 度 は、これまでの 労 働 分 野 における 医 療 分 野 等 との 連 携 促 進 の 必 要 に 対 応 したものも多 く、 例 えば、「 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」は、まさに 医 療 機 関 における 就 職 セミナー 等 の 非 就労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけのニーズに 対 応 するものであるし、ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」も 地 域 関 係 機 関 のケースワーク 方 式 での 就 職 前 から 就 職 後 までの 継 続 支 援 の 取 組 である。 医 療 機 関 側 のニーズに 対 応 できる 雇 用 支 援 制 度 を 明 確 にし、 医 療 機 関 側 の 効 果 的 活 用 や、 効 果 的 連 携 につなげていくことが 重要 であろう。これらの 雇 用 支 援 制 度 の 効 果 的 活 用 については、 第 5 章 でさらに 議 論 をする。-126- - -