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スペイン語と日本語の音声の対照的研究 - 東京大学

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4. 1. 2. アクセントの基本的位置<br />

(1) スペイン語<br />

スペイン語において最も基本的なアクセントの位置は、語末から数えて 2 番目の音節であ<br />

る 131 。ここで「基本的」と呼ぶのは次の理由による。<br />

(1) 特定の子音で終わる語を除き大多数の語がこの型である。<br />

(2) 外国語、とくに日本語など正字法でアクセントが付されていない言語がスペイン語に同化<br />

されるとき、多くの語がこの型になる。例。Yokohama > S. /yoko'xama/<br />

(3) 本来強勢のかからない語(弱勢語)が、特定の場合にアクセントを受けることになるとこの<br />

型になる 132 。例:¿Qué has escrito aquí? - He escrito: "durante"[du'ɾante].<br />

(2) 日本語<br />

東京語のアクセントは以下のような型の体系を持つ 133 。<br />

平板型 ヒガ トリガ サクラガ トモダチガ ニホンガミガ ムラサキイロガ<br />

尾高型 * ハナガ オコトガ イモートガ オショーガツガ ジューイチガツガ<br />

中高型<br />

* * ココロガ ミズウミガ ニワカアメガ アイアイガサガ<br />

* * * ウグイスガ ハルガスミガ タタミオモテガ<br />

* * * * オナイドシガ コナオシロイガ<br />

* * * * * オマワリサンガ<br />

頭高型 ヒガ アメガ イノチガ コーモリガ オツキサマガ ダイジングウガ<br />

このように高いピッチ(下線で示した)と低いピッチの配列が非常に拘束されているために、<br />

日本語のアクセントには音節の連続を一つにまとめる働きがある。服部 (1954, 1960: 240ff;<br />

1973) はこの特徴を考慮して、「(1) 核 134 があるか無いか、(2) 有る場合にはどのモーラにある<br />

か」、という弁別的特徴を有する「アクセント素」 (prosodeme) を考える。たとえば、「心」<br />

は/○○˥˥○/といったアクセント素を有することになり、n 個のモーラのある語には n+1 個のア<br />

クセント素の可能性がある。<br />

例:<br />

「心」/○○˥○/<br />

「鶯」/○○˥○○/<br />

「桜」/○○○/<br />

131 Real Academia Española (1973, p. 67) はこれを"paroxitonismo"と呼ぶ。<br />

132 id. p. 67.<br />

133 金田一 (1958: 12-13. それぞれの語を漢字で表記すると次のようになる。平板型:日、鳥、<br />

桜、友達、日本髪、紫色。尾高型:花、男、妹、お正月、十一月。中高型:心、湖、俄雨、<br />

相合い傘;鶯、春霞、畳表;同い年、粉白粉;お巡りさん。頭高型:火、雨、命、蝙蝠、お<br />

月様、大神宮。尾高型、中高型、頭高型を合わせて起伏式とよぶ。これに対して、平板式は<br />

平板型だけである。<br />

134 「核」とは次に「低」を伴う「高」をいう。cf. 服部 (1954; 1960: 251.<br />

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