スペイン語と日本語の音声の対照的研究 - 東京大学
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一方、スペイン語話者は、日本語のアクセント・パタンをすべて無視し、S の基本アクセ<br />
ント位置である/ (…)'SS/に合わせる傾向がある。<br />
J.「形」/kataci/ > S. /ka'taci/<br />
J.「男」/otoko˥/ > S. /o'toko/<br />
J.「心」/koko˥ro/ > S. /ko'koɾo/<br />
J.「命」/i˥noci/ > S. /i'noci/<br />
音声的に見るならば、両者には以下のような差がある。<br />
S. /ka 'ta ci/ J. /ka ta ci/<br />
音素解釈の上では、両言語ともに強勢 (/'/) とアクセント核 (/˥/) の位置による対立が考え<br />
られるが、その音声的な実現を見ると以下のような違いがある。音声的な実体の比較はすで<br />
に扱ったので、ここではアクセントの音声的な連続の形状について比較する。<br />
スペイン語の強勢は、他の弱勢音節から卓立して現れ突出的であるのに対し、日本語のア<br />
クセントは核およびそれに先行する音節が台地状の形を示している 139 。<br />
S. /ni ka ɾa gwa/ J. /ni ka ra˥ guwa/<br />
S. /gwa te ma la/ J. /gu wa te ma ɾa/<br />
日本語話者はスペイン語の強勢に先行する音節を高く続ける傾向があり、とくにスペイン<br />
語の長く弱勢が続く語の発音にそれが顕著に見られる。<br />
139 ただし、音調の自然な下降がある。cf. 後述 4. 2. 3.<br />
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