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スペイン語と日本語の音声の対照的研究 - 東京大学

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性質をスペイン語に移し替えると、以下のような対の弁別ができなくなる。<br />

aprobado (是認された) /apɾo'bado/<br />

ha probado (彼は試してみた) /'apɾo'bado/<br />

escrito (書かれた) /es'kɾito/<br />

he escrito (私は書いた) /'es'kɾito/<br />

また、日本語にはスペイン語の定冠詞、接続詞、前置詞、関係代名詞などの弱勢語に相当<br />

するものがないので、日本語話者はこれらにもアクセントをつける傾向がある。とくに弱勢<br />

語が続く次のような例では、弱勢のままにするのが困難である。<br />

Voy a recetarle un calmante para que se le alivie el dolor. (痛みが軽くなるように鎮痛剤<br />

を処方して差し上げましょう)<br />

Clara está ya perfectamente, de lo que me alegro mucho. (クララはもうすっかり元気で、<br />

私はそれがとてもうれしい) 140 .<br />

一方、スペイン語話者による日本語の発話には、以下のような干渉が見られる。<br />

J. /mu zu ka si˥H desu/ > S. /mu su ka 'si des/<br />

語頭の上昇位置が異なること、アクセント音節の卓立、末尾の音調の傾きなどが違う。<br />

最後に、語頭の音節の性質が両言語において違うことも指摘しておきたい。スペイン語で<br />

は語頭の弱勢音節が比較的長く強く、ときには高く発音される傾向にあるが、日本語のそれ<br />

はスペイン語と比べてかなり弱く、語頭が低くはじまる語ではとくに弱い。日本語話者が話<br />

すスペイン語の初めの部分が聞き取れにくいのはこの影響が大きいものと思われる。<br />

140 岡田 (1967: 52.<br />

108

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