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スペイン語と日本語の音声の対照的研究 - 東京大学

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この図より以下の 2 つの問題点が指摘できる。<br />

(a) S. /n/ : /ñ/と J. /n/<br />

J. /n/の各異音がスペイン語の/n/の範囲と/ñ/の範囲に重なっている。 S. /ñ/が/e, a, o, u, w/の<br />

前にあるときは、日本語では J. /ny/と解釈される音に対応するが、 S. /ñ/が/i/の前にあると、<br />

J. /ni/と解される。よって、S. /ni/ [ni]と S. /ñi/の弁別が困難になる。日本語話者には次のよう<br />

な対の弁別がほとんど不可能である。<br />

teñido (染めて) /te'ñido/ [te'ñido] : tenido (持って) /te'nido/ [te'nido]<br />

ceñí (私は巻きつけた) /θe'ñi/ [θe'ɲi] : cenit (天頂) /θe'nit/ [θe'nit]<br />

(b) S. /ñ/と J. /n/ : /g/<br />

日本語の/g/には、その語中における異音として[ŋ]があり、これは後続の母音により、調音<br />

位置が広範囲にわたる。/i/が後続するときは硬口蓋音となり、S. /ñ/の調音位置に近づくため、<br />

/ŋ/がないスペイン語では J. [ŋ + ]は S. /ñ/に牽引される。このためスペイン語話者は J. /ni/ [ɲi]<br />

と J. /gi/ [ŋ + i]の弁別が困難であり、たとえば以下のような対を識別することがむずかしい。<br />

「鍵」/kagi/ [kaɲ + i] :「カニ」/kani/ [kaɲi]<br />

「木々」/kigi/ [kiɲ + i : 「木に」/kini/ [kiɲi]<br />

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