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スペイン語と日本語の音声の対照的研究 - 東京大学

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子音 両唇 歯茎 軟口蓋 声門<br />

無声閉鎖音 /p/ /t/ /k/<br />

有声閉鎖音 /b/ /d/ /g/<br />

破擦音 /c/<br />

無声摩擦音 /s/ /h/<br />

有声摩擦音 /z/<br />

鼻音 /m/ /n/<br />

流音 /r/<br />

モーラ音素: H Q N<br />

金田一(1974, : . 31)は、モーラを音素的音節と考え、モーラ音素を音素的母音に分類する 38 。<br />

筆者は、日本語のモーラ音素をスペイン語と対照するときは子音と見なしたほうがよいので、<br />

ここではこれらを「音節末子音音素」として分類することにする。よって音素的音節とモー<br />

ラを区別し、音節の核になり得ないモーラ音素は音素的子音であると考える。また、モーラ<br />

と区別された「音節」の単位は、後述するようにアクセントの配置の問題にも関連するので、<br />

有用であると思う。<br />

日本語に対応する音素のないスペイン語音素は/f, θ, x, ɲ, l, ʎ, r/であり、一方スペイン語に対<br />

応する音素のない日本語音素は/h, z, Q, N, H/である。これらの音素の発音は、日本語話者、ス<br />

ペイン語話者にとって習得が困難であることが予想される。具体的にどのような問題点があ<br />

るかを知るためには、両言語の全体的な音素パタンと異音の記述と比較を行わなければなら<br />

ない。<br />

また、両言語の音節構造を比較すると、ともに音素的対立が母音の後の位置よりも前の位<br />

置において、より高く機能していることが注目される 39 。一方、スペイン語では日本語よりも<br />

子音の結合が許されるし、日本語ではモーラ音素が音節末に存在しうる点などの相違もあげ<br />

られる。<br />

2. 1. 母音<br />

音声学的にいう「母音」とは、「空気が舌の中央を通り、口から流出し (すなわち側音でな<br />

い音) 、そのとき口の中で摩擦を生じない音」である 40 。一方、音素論では、母音は「音節の<br />

核を形成する音素」と定義される。よって、たとえば、S. /y/や J. /H/は、音声学的には母音<br />

(vocoid)であるが、音素論的には音節の核になりえないので、子音と解釈される。本節で扱う<br />

のは音素的母音と J. /H/である。<br />

38 Jones (1950: 88)の、たとえば、syllabic m, n, ŋ に関する記述も同じである。<br />

39 Malmberg (1948; 65), 橋本(1950): 229ff.<br />

40 Pike (1943), pp. 66-79. Pike はこれを vocoid と名づけ、その他の contoid と区別する。<br />

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