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スペイン語と日本語の音声の対照的研究 - 東京大学

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3. 音の結合<br />

これまではスペイン語と日本語の音素を個別に比較してきた。しかし、個々に取り出して<br />

は見失われがちな音の結合による諸現象があり、これらについても両言語の比較が可能であ<br />

る 104 。ここでも比較のための共通の単位を音節とする 105 。<br />

スペイン語の最大規模の音節構造は/C1LSVSC2C3/である。C1 は閉鎖子音および/f/、L は流<br />

音、S は半母音、V は母音、C2 は/p, b. t. d. k, g, n, l, r, θ/、 C3 は/s/を示す。この中で、/SVS/は<br />

音節の核 (nucleus) を形成し、他の子音(結合) から分離できる。/V/を単純核とよび、/SV/, /VS/,<br />

/SVS/を複合核とよぶ。<br />

日本語の最大規模の音節構造は/CyVM1M2/である。/Cy/は硬口蓋子音または口蓋化子音を形<br />

成するため、スペイン語のように/yV/で複合核を形成するとは考えられない。M1 はモーラ音<br />

素/Q, N/で、/VM1/が日本語の複合核にあたる。<br />

以下では音節構造に基づいて対照分析を進めていく。最初に母音、次に半母音、子音の分<br />

析を行う。半母音と子音の分析については母音の前の位置にあるものを先に行い、次に後の<br />

位置にあるものに移る。比較のための枠組みは次のような抽象化された音節で、両言語に共<br />

通である 106 。<br />

3. 1. 音節の核<br />

3. 1. 1. スペイン語の核<br />

C- V C+<br />

頭子音 母音 尾子音<br />

スペイン語の音節の構造は次のようになる。<br />

C-3 C-2 C-1 V C+1 C+2 C+3<br />

/p, t, k/<br />

/b, d, g/<br />

/f/<br />

---<br />

/c/<br />

104 cf. Heffener (1950: 163ff).<br />

/θ, s, x/<br />

/m, n, ñ/<br />

/ɾ, r, ʎ/<br />

/ɾ/<br />

/l/<br />

/y/<br />

/w/<br />

/i/<br />

/e/<br />

/a/<br />

/o/<br />

/u/<br />

83<br />

/y/<br />

/w/<br />

/p~b/<br />

/t~d/<br />

/k~g/<br />

105 O'Connor-Trim (1953)と Haugen (1956)は、音素配列論 (phonotactics) の単位として音節の有<br />

用性を論じている。<br />

106 cf. 城田(1971: 16-18).<br />

---<br />

/n/<br />

/l/<br />

/ɾ/<br />

/θ/<br />

/s/

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