000175362

Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用
御 意 見 の 概 要
考 え 方
‣ 層 状 系 の 水 蒸 気 爆 発 は, 全 く 考 えていない. 近 年 P. Kudinov, D.
Grishchenko(2014)らによる PULiMS 実 験 によって, 水 プールに 溶
融 物 が 流 入 し, 層 状 となり, 自 発 的 に 水 蒸 気 爆 発 が 起 こることが
明 らかになった.また, 溶 融 炉 心 に 水 を 注 いで 冷 却 する 場 合 も,
層 状 系 の 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 が 考 えられている. 審 査 書 184 ページ
には,「 原 子 炉 容 器 内 に 残 存 する 溶 融 炉 心 の 冷 却 」のため, 下 部 か
ら 水 を 上 昇 させることが 考 えられている.まさに, 層 状 となり,
場 合 によっては 水 蒸 気 爆 発 となる 危 険 性 が 考 えられる.
‣ 層 状 系 の 水 蒸 気 爆 発 は、 水 蒸 気 爆 発 の 一 形 態 として 従 来 から 認 識 さ
れていますが、 粗 混 合 量 が 小 さい 等 の 理 由 によって 大 きな 機 械 的 エ
ネルギ 発 生 に 繋 がらないと 考 えています。
また、 審 査 書 ( 案 )「Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリー
ト 相 互 作 用 」にあるとおり、 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 は、 原
子 炉 容 器 の 破 損 前 ( 炉 心 溶 融 開 始 30 分 後 )に 開 始 することを 確 認
しています。
ご 指 摘 のとおり、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 容 器 に 残 存 する 場 合 には、 原
子 炉 格 納 容 器 に 水 張 りを 行 って、 原 子 炉 容 器 下 部 から 水 を 上 昇 さ
せ、 原 子 炉 容 器 内 に 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 する 手 順 を 整 備 してお
りますが、この 場 合 であっても、 粗 混 合 量 が 小 さいことから 大 きな
機 械 的 エネルギの 発 生 には 繋 がらないものと 考 えています。
‣ TROI 実 験 では,2600K や 3000K という, 低 い 過 熱 度 の 実 験 でも 自
発 的 な 水 蒸 気 爆 発 が 観 察 されている. 申 請 者 らは,「2600K の 温 度
は 3500K と 思 われる」という 趣 旨 の 資 料 を 提 出 しているが,およ
そ 900K も 指 示 値 が 異 なるとなると,もはや 温 度 測 定 とは 言 えなく
なる. 原 著 論 文 (J.H.SONG ら, 2003)では,「ガスのために, 放 射
温 度 計 の 測 定 値 が 低 くなり 正 しい 指 示 値 を 示 さない」 旨 の 考 察 を
行 っているが,3000K のピーク 波 長 は 1 マクロメートル 程 度 であ
る. 一 方 ,ガスの 影 響 があるのは,1 マイクロメートル 以 上 の 電 磁
波 についてであり,3000K 以 上 の 高 温 域 では,ガスの 吸 収 の 影 響
は 少 ないと 思 われる.このように 温 度 測 定 の 誤 りなどを 指 摘 して
いるが, 仮 に 温 度 測 定 が 誤 りだとすれば, 申 請 者 が「 水 蒸 気 爆 発
が 起 こらない」 根 拠 とする 実 験 データのすべての 温 度 測 定 も 信 頼
‣ 一 般 論 として、 温 度 の 計 測 結 果 には 不 確 かさがあることは 承 知 して
います。TROI 実 験 においては、 印 加 出 力 と 測 定 温 度 との 関 係 から 測
定 温 度 を 較 正 する 措 置 が 講 じられていることを 確 認 しています。
45