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タイムテーブル 第 1 日目 5 月30日(水) - 株式会社コングレ

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ES2-1<br />

歴 史 と 術 式 の 開 拓 ・ 変 遷<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 山 本 雅 一<br />

第 2 次 世 界 大 戦 後 に 近 代 肝 臓 外 科 の 大 きな 進 歩 がみられた。それまでは、<br />

解 剖 学 的 な 肝 切 除 は 施 行 されず、 症 例 も 少 なく、 肝 切 除 技 術 も 未 熟 で<br />

あった。1950 年 以 降 、 局 所 解 剖 の 理 解 、 画 像 診 断 の 進 歩 、 肝 機 能 評 価 、<br />

周 術 期 管 理 の 進 歩 、 各 種 デバイスの 開 発 と 相 まって 肝 臓 外 科 は 大 きな<br />

変 遷 を 遂 げた。 術 式 を 中 心 に 考 えると、 肝 臓 脈 管 へのアプローチ、 肝<br />

離 断 方 法 、 血 行 遮 断 、 肝 移 植 、 鏡 視 下 肝 切 除 などが 注 目 される。 脈 管<br />

ア プ ロ ー チ と し てcontrolled…method… があり、1952 年 フランスの<br />

Lortat-Jacobらの 報 告 が 世 界 で 最 初 であるとされている。しかし、<br />

Foster…とBermanは 著 書 Solid…liver…tumorsの 中 で、1949 年 日 本 の 本 庄<br />

らが 初 めてのcontrolled…methodによる 右 肝 切 除 に 成 功 したと 紹 介 し<br />

た。 台 湾 のLinら(1958)はfinger…fracture 法 にて 肝 実 質 を 離 断 後 の 肝<br />

門 部 グリソン 系 脈 管 … 処 理 について 報 告 した。さらにCouinaud(1985),…<br />

高 崎 (1984)が 肝 実 質 を 離 断 せずに 肝 門 部 グリソン 鞘 へのアプローチに<br />

ついて 報 告 した。 高 崎 は、 肝 門 部 あるいは 肝 区 域 境 界 部 からからグリ<br />

ソン 鞘 3 次 分 枝 へのアプローチ、 幕 内 ら(1985)は 術 中 超 音 波 下 に 肝 内<br />

グリソン 鞘 を 穿 刺 し、 染 色 することで 切 除 範 囲 を 同 定 するsubsegmentectomyについて<br />

報 告 し、 肝 臓 の 系 統 的 切 除 がほぼ 完 成 した。<br />

離 断 の 方 法 として、クランプ 鉗 子 を 用 いた 離 断 が、 中 山 (1958)、<br />

Longmire(1971)、Lin(1973)らから 報 告 されている。 肝 離 断 の 方 法 は、<br />

finger…fracture 法 、ペアンクラッシュ 法 、さらにはマイクロ 波 による<br />

pre-coagulation、CUSAと 変 遷 した。 肝 離 断 アプローチとして 香 港 の<br />

ST…Fanら(1996)によるanterior…approachが 報 告 されているが、これ<br />

についても1984 年 に 高 崎 らが 巨 大 肝 がんに 対 する 肝 切 除 の 方 法 として<br />

すでに 報 告 していた。Belghiti… ら(2001)のhanging…maneuverも 肝 離<br />

断 には 有 用 で、これらの 技 術 が 鏡 視 下 肝 切 除 でも 活 用 されている。 鏡<br />

視 下 肝 切 除 の 発 展 に 伴 い、 各 種 エネルギーデバイスの 開 発 がなされ、<br />

これらのデバイスは 開 腹 肝 切 除 にても 使 用 されるようになった。 今 後<br />

は 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 、あるいはロボット 肝 切 除 も 視 野 に 入 っている。<br />

ES2-2<br />

硬 変 肝 の 切 除 と 肝 再 生<br />

兵 庫 医 科 大 学 外 科 ・ 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 飯 室 勇 二<br />

肝 悪 性 腫 瘍 の 外 科 切 除 においては、 腫 瘍 の 完 全 切 除 と 残 肝 機 能 の 温 存<br />

との 両 立 が 最 低 条 件 である。 後 者 の 条 件 で 問 題 になるのが、 非 腫 瘍 部<br />

背 景 肝 の 機 能 障 害 であり、ウイルス 性 肝 炎 の 遷 延 などによる 肝 硬 変 が<br />

その 代 表 である。 肝 硬 変 を 伴 う 肝 細 胞 癌 の 治 療 として 肝 移 植 が 選 択 肢<br />

としてあげられるが、ドナーの 確 保 が 必 ずしも 容 易 ではなく、また 移<br />

植 可 能 な 人 工 肝 臓 の 確 立 に 至 っていない 現 在 、 硬 変 肝 に 対 する 外 科 切<br />

除 の 必 要 性 は 依 然 残 されているものと 考 える。 過 去 30 年 以 上 、 肝 臓 外<br />

科 医 を 中 心 に、 肝 予 備 能 の 評 価 に 基 づく 安 全 な 切 除 範 囲 の 検 討 がなさ<br />

れ、 現 在 ある 一 定 の 見 解 が 得 られている。さらに、 近 年 3D 画 像 解 析<br />

の 進 歩 とアシアロシンチグラフィーの 普 及 により、 両 者 の 統 合 画 像 か<br />

ら、 個 々の 症 例 における 領 域 別 残 肝 機 能 評 価 が 可 能 となっており、 検<br />

査 手 技 の 煩 雑 さはあるものの、 客 観 的 残 肝 機 能 評 価 として 有 用 である<br />

と 考 える。 硬 変 肝 の 実 際 の 切 除 においては、 肝 線 維 化 の 進 行 に 伴 う 肝<br />

実 質 の 硬 化 のため、 脈 管 (とくに 肝 静 脈 )と 肝 実 質 の 分 離 が 非 硬 変 肝 と<br />

比 べ 難 しくなり、 結 果 として 術 中 出 血 量 が 増 加 する 傾 向 にある。また、<br />

肝 臓 の 脱 転 操 作 に 伴 う 肝 周 囲 リンパ 組 織 の 切 離 により、 術 後 腹 水 およ<br />

び 胸 水 の 貯 留 が 問 題 となることが 少 なくない。したがって、 硬 変 肝 の<br />

切 除 においては、 切 除 範 囲 の 慎 重 な 検 討 に 加 え、 如 何 に 術 後 胸 腹 水 を<br />

来 しにくい 切 除 戦 略 を 立 てるかが 重 要 である。 肝 外 科 切 除 の 前 提 は、<br />

肝 臓 が 再 生 する 臓 器 であることにある。しかし、 肝 線 維 化 の 進 行 に 伴<br />

い、 肝 再 生 能 が 低 下 することが 知 られている。 硬 変 肝 における 肝 細 胞<br />

自 体 の 増 殖 能 は 低 下 していないという 報 告 もあり、 併 存 する 線 維 化 が<br />

切 除 後 肝 再 生 の 抑 制 因 子 になっていることが 容 易 に 推 測 される。 高 度<br />

線 維 化 の 治 療 は 現 時 点 では 困 難 であるが、C 型 慢 性 肝 炎 患 者 に 対 する<br />

IFN 治 療 やB 型 慢 性 肝 炎 患 者 に 対 する 核 酸 アナログ 治 療 により、 肝 線<br />

維 化 が 改 善 することが 報 告 されている。したがって、 肝 炎 ウイルスに<br />

起 因 する 硬 変 肝 においては、 外 科 切 除 後 の 抗 ウイルス 治 療 も 重 要 な 課<br />

題 である。 今 後 、 移 植 可 能 な 人 工 肝 臓 が 確 立 されるまでの 間 、 硬 変 肝<br />

における 肝 切 除 の 検 討 は 引 き 続 き 重 要 な 課 題 と 考 える。<br />

ES2-3<br />

肝 門 板 の 局 所 解 剖 に 基 づく 肝 切 除<br />

信 州 大 学 外 科<br />

○… 宮 川 眞 一<br />

Couinaudは 肝 臓 の 鋳 型 標 本 から 肝 実 質 を 取 り 除 いた 時 に、 肝 下 面 ( 肝<br />

門 )に 残 こる4つの 厚 い 線 維 性 結 合 組 織 塊 をplate…system(gallbladder…<br />

plate,…hilar…plate,…umbilical…plate,…Arantius…plate)と 名 付 け た。<br />

Couinaudはこのplate…systemはWalaeus… が 記 載 した 肝 門 の 厚 い 結 合<br />

組 織 、すなわちvasculobiliary…sheathが 主 体 であると 述 べているが、<br />

近 年 、HayashiらはCouinaud…がvaginal…ductuliと 呼 んだ 胆 管 周 囲 腺 が<br />

門 脈 臍 部 から 右 門 脈 前 後 区 域 枝 分 岐 部 まで 広 がっており、これが<br />

plate…system… の 芯 となっている 可 能 性 を 指 摘 している。これらの<br />

plateの 下 面 ( 内 部 )には 肝 動 脈 、 門 脈 、 胆 管 が 複 雑 に 走 行 しているが、<br />

plateの 上 面 は 肝 実 質 とGlisson 鞘 (portal…pedicle)のみであり、plateの<br />

上 面 ではGlisson 鞘 単 位 で 考 える 限 り 解 剖 学 的 な 扱 いが 簡 単 になる。<br />

すなわち 肝 動 脈 、 門 脈 、 胆 管 はGlisson 鞘 に 包 まれてplateから 肝 内 に<br />

向 かうので、 肝 切 除 を 行 う 際 に、 動 門 脈 胆 管 をそれぞれ 分 けて 処 理 を<br />

しなくてもよい 場 合 、すなわち 肝 門 部 まで 癌 が 及 んでいない 肝 細 胞 癌<br />

や 転 移 性 肝 癌 に 対 する 肝 切 除 では、hilar…plate( 肝 門 板 )より 上 面 で 処<br />

理 を 行 う(グリソン 一 括 処 理 ) 肝 切 除 が 簡 便 な 方 法 である。hilar…plate<br />

( 肝 門 板 )は 肝 門 を 覆 い、その 右 縁 は 門 脈 右 枝 本 幹 の 右 端 であり、 左 縁<br />

は 横 走 部 の 左 端 であり、 後 側 には 尾 状 葉 に 向 かうcaudate…pedicleが 数<br />

本 ある。 前 記 の 腫 瘍 に 対 する 左 肝 切 除 では、 肝 門 板 の 頭 側 には 肝 臓 内<br />

に 向 かう 脈 管 は 何 もないので、 背 側 に 存 在 するcaudate…pedicleを 損 傷<br />

しないように 肝 門 板 と 肝 臓 の 間 を 横 走 部 で 剥 離 すれば、ほとんど 出 血<br />

させることなく 短 時 間 で 左 肝 に 向 かう 動 門 脈 胆 管 を 一 括 して 確 保 でき<br />

る。 一 方 、 肝 門 板 の 右 側 は 短 いためこれを 確 保 するのは 難 しいので、<br />

右 肝 に 向 かう 動 門 脈 胆 管 を 一 括 して 処 理 するには、 前 区 域 と 後 区 域 の<br />

Glisson 鞘 を 個 別 に 確 保 する 必 要 がある。これに 対 し、 肝 門 部 胆 管 癌<br />

や 生 体 肝 移 植 などでは、 肝 動 脈 、 門 脈 、 胆 管 をそれぞれ 分 けて 処 理 す<br />

るため、 肝 門 板 の 下 面 で、それぞれの 脈 管 を 剥 離 、 同 定 する 必 要 があ<br />

る。<br />

ES3-1<br />

発 生 学 に 基 づいた 膵 ・ 胆 道 癌 の 進 展 経 路<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科<br />

○… 太 田 哲 生<br />

… 膵 ・ 胆 道 癌 の 進 展 経 路 に 関 するいくつかの 事 実 誤 認 ( 常 識 の 嘘 )が 現<br />

在 の 外 科 治 療 成 績 の 向 上 を 大 きく 阻 んでいると 思 われる。そこで、 本<br />

セミナーでは 合 理 的 な 膵 ・ 胆 道 癌 根 治 手 術 (D2 郭 清 )を 施 行 する 際 に<br />

必 要 な 発 生 学 に 基 づいた 癌 の 進 展 経 路 について、 我 々の 研 究 成 果 を 紹<br />

介 する。1) 膵 臓 は、 発 生 学 的 に 腹 側 膵 と 背 側 膵 との 癒 合 から 成 り 立 つ。<br />

特 に 膵 頭 部 においては、 門 脈 ・ 脾 静 脈 より 腹 側 に 位 置 する 背 側 膵 と、<br />

逆 に 門 脈 ・ 脾 静 脈 より 背 中 側 に 位 置 する 腹 側 膵 に 大 別 できる。2) 市 中<br />

病 院 で 手 術 の 適 応 となる 膵 頭 部 癌 は 主 膵 管 や 総 胆 管 の 拡 張 が 契 機 で 診<br />

断 されているものが 大 部 分 で、 癌 の 主 たる 占 拠 部 位 は 腹 側 膵 領 域 であ<br />

る。3) 腹 側 膵 領 域 癌 のリンパ 行 性 進 展 経 路 は、 基 本 的 には 膵 後 面 の 血<br />

管 アーケイドに 沿 ってmesopancreas 内 をSMAの 背 側 から 左 側 方 向 の<br />

小 腸 間 膜 内 に 進 展 していく。したがって、 腹 腔 動 脈 系 の5 番 、6 番 リン<br />

パ 節 へ 転 移 することはないので 安 心 してPpPDが 施 行 できる。4) 背 側<br />

膵 領 域 にある 癌 は、 総 肝 動 脈 系 の 神 経 叢 ( 前 肝 神 経 叢 )やリンパ 節 に 浸<br />

潤 ・ 転 移 するのでSSPPDが 望 ましい。5) 胆 道 癌 のリンパ 行 性 進 展 経<br />

路 には 右 側 経 路 と 左 側 経 路 があり、 左 側 経 路 は 腹 腔 動 脈 に 沿 うリンパ<br />

節 群 であることが 知 られている。しかし、 右 側 経 路 に 関 して 伴 走 する<br />

動 脈 の 明 確 な 記 述 がない。 我 々の 研 究 で、この 右 側 経 路 のリンパ 節 群<br />

(12b2,12p2,…8p)は、 胎 生 期 のSMAからでる 右 肝 動 脈 ( 成 人 では、SMA<br />

からでるreplaced…hepatic…artery)に 沿 うリンパ 節 群 であり、その 動<br />

脈 周 囲 の 神 経 叢 は 後 肝 神 経 叢 ( 膵 頭 神 経 叢 第 一 部 を 含 む)であって、 総<br />

肝 動 脈 周 囲 の 前 肝 神 経 叢 とは 発 生 学 的 に 区 別 されるべきものであるこ<br />

とがわかった。したがって、 胆 嚢 癌 のみならず、 下 部 胆 管 癌 ・ 乳 頭 部<br />

癌 や 腹 側 膵 由 来 の 膵 頭 部 癌 を 手 術 する 際 には、 左 側 経 路 よりも 右 側 経<br />

路 の12b,…12p2,…8pリンパ 節 群 をSMA 根 部 に 向 かって 確 実 に 郭 清 する<br />

ことが 重 要 となる。そして、この 右 側 経 路 を 通 ってSMA 根 部 周 囲 か<br />

ら 腎 前 筋 膜 を 貫 いて 後 腹 膜 腔 内 の16b1 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 へと 癌 が<br />

リンパ 行 性 に 進 展 していくことを 是 非 理 解 していただきたい。<br />

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