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MVW5-1<br />
Hangingmaneuverを 安 全 に 行 うための 工 夫 とそ<br />
の 応 用<br />
熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />
○… 近 本 亮 , 別 府 透 , 中 川 茂 樹 , 黒 木 秀 幸 , 新 田 英 利 ,<br />
林 洋 光 , 今 井 克 憲 , 中 原 修 , 生 田 義 明 , 土 居 浩 一 ,<br />
石 河 隆 敏 , 高 森 啓 史 , 馬 場 秀 夫<br />
2005 年 以 降 、 当 科 では 術 中 出 血 量 低 減 のためHanging…maneuver…<br />
(HM)とpre-coagulation…technique…(PC)… を 導 入 している。 当 科 での<br />
HMの 要 点 、 適 応 、 応 用 を 示 し、 導 入 前 後 での 手 術 時 間 、 出 血 量 の 変<br />
化 を 検 討 する。 原 則 として 肝 門 部 のグリソン 一 括 テーピング 後 にHM<br />
を 行 っている。【 要 点 】1.… 決 して 急 がず、 無 理 して 鉗 子 を 通 さない。2.…<br />
下 大 静 脈 (IVC) 前 面 中 央 の 剥 離 ラインを 維 持 する。3.…ヘッドライトで<br />
肝 背 側 の 剥 離 間 隙 を 照 らし、 短 肝 静 脈 や 左 尾 状 葉 静 脈 を 可 能 な 限 り 直<br />
視 下 に 確 認 して、 血 管 を 損 傷 しないようによけながら 剥 離 を 行 う。4.…<br />
右 門 脈 塞 栓 後 の 症 例 ではIVC 前 面 の 無 血 管 野 が 右 側 にずれているため、<br />
IVC 中 央 のやや 右 側 (11 時 方 向 )を 剥 離 する。【 適 応 】 右 肝 切 除 、 拡<br />
大 後 区 域 切 除 は 最 もよい 適 応 であり、HM 施 行 後 に 肝 門 部 グリソンの<br />
腹 側 にテープを 通 し 直 すことで、テープに 向 かって 一 直 線 に 肝 切 離 を<br />
行 うことが 可 能 となる。IVC 浸 潤 が 疑 われる 肝 内 胆 管 癌 、 転 移 性 肝 癌<br />
は 慎 重 に 適 応 を 判 断 する( 肝 細 胞 癌 では 剥 離 可 能 なことが 多 い)。 巨 大<br />
腫 瘍 で 肝 静 脈 根 部 、 肝 下 部 IVC 前 面 の 視 野 が 不 十 分 な 場 合 は 実 質 切 離<br />
を 先 行 させ、 視 野 と 操 作 スペースを 確 保 後 にHMを 行 う。【 応 用 】1.…<br />
中 央 二 区 域 切 除 ではテープを2 本 使 用 することで 効 率 よく 肝 切 離 が 施<br />
行 できる。2.… 中 - 左 肝 静 脈 間 にテープを 通 すことが 可 能 であれば、 左<br />
肝 切 除 、 外 側 区 域 切 除 、 拡 大 右 肝 切 除 に 有 用 である。3.… 腹 腔 鏡 補 助 下<br />
肝 切 除 では 皮 膚 切 開 が 小 さいため、HMの 有 用 性 がより 高 まる。4.…S7<br />
切 除 やS8 切 除 では、 横 隔 膜 側 の 切 離 線 に「 溝 」を 作 り、そこにテー<br />
プをかけ 牽 引 することで、 切 離 面 を 意 識 しやすくなり、 切 離 の 助 けと<br />
なる。【 結 果 】 直 径 5cm 以 上 肝 細 胞 癌 切 除 例 のretrospectiveな 解 析 では、<br />
HM,…PC 導 入 前 …(n=41)、 導 入 後 …(n=121)の 手 術 時 間 、 出 血 量 はそれ<br />
ぞ れ531 分 …vs.…438 分 …(p 肝 臓 の 脱 転 が 困 難 な 場 合 、 肝 門 部 にて<br />
胆 嚢 摘 出 後 、グリソン 一 括 で 右 葉 系 か 左 葉 系 にテーピングを 行 い、 肝<br />
十 二 指 腸 間 膜 の 背 側 にて 尾 状 葉 を 露 出 し、Spiegel 葉 と 尾 状 突 起 の 峡<br />
部 を 切 離 し、 下 大 静 脈 前 面 に 至 り、 短 肝 静 脈 を 数 本 処 理 し、 下 大 静 脈<br />
前 面 を 頭 側 へある 程 度 剥 離 する。その 後 、 肝 上 部 にて 右 肝 静 脈 と 左 右<br />
肝 静 脈 共 通 幹 の 間 を 尾 側 へと 剥 離 し、 下 大 静 脈 尾 側 より 弱 弯 のケリー<br />
鉗 子 を 下 大 静 脈 前 面 に 沿 わすように 頭 側 へと 挿 入 し、 肝 上 部 下 大 静 脈<br />
の 右 肝 静 脈 と 左 右 肝 静 脈 共 通 幹 の 間 に 至 り、Hanging…maneuver 用 の<br />
テーピングを 行 う。その 後 、Hanging…maneuverを 用 い な が ら、<br />
anterior…approachにて 肝 切 離 を 開 始 し、 下 大 静 脈 前 面 に 至 り、 肝 切<br />
離 を 終 了 する。その 後 、 肝 臓 の 脱 転 を 行 い、 腫 瘍 を 摘 出 する。< 結 果<br />
>2003 年 よりHanging…maneuverを 導 入 し、27 例 に 使 用 。 適 応 の 内 訳 は、<br />
通 常 の 葉 切 除 9 例 ( 右 葉 8 例 、 左 葉 1 例 )、 尾 状 葉 合 併 切 除 11 例 ( 右 葉 系 2 例 、<br />
左 葉 系 9 例 )で、 絶 対 的 適 応 のあったものが7 例 であり、 巨 大 腫 瘍 によ<br />
るものが5 例 で、 下 大 静 脈 への 腫 瘍 栓 1 例 、 横 隔 膜 浸 潤 1 例 で 全 例<br />
anterior…approachに よ る 肝 切 離 を 行 っ た。 < 結 語 >Hanging…<br />
maneuverは 葉 切 除 や 尾 状 葉 合 併 切 除 時 に 有 用 であり、 特 に 巨 大 腫 瘍<br />
で 肝 臓 の 脱 転 が 困 難 な 症 例 や、 下 大 静 脈 腫 瘍 栓 により、 脱 転 が 危 険 を<br />
伴 う 症 例 に 対 し、anterior…approachを 行 うときに 有 効 な 手 段 となる<br />
と 考 えられた。<br />
MVW5-4<br />
当 施 設 におけるmodifiedHangingManeuverを 用<br />
いた 肝 葉 切 除 の 工 夫<br />
神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />
○… 木 戸 正 浩 , 福 本 巧 , 土 田 忍 , 田 中 基 文 , 蔵 満 薫 ,<br />
浦 出 剛 史 , 味 木 徹 夫 , 松 本 逸 平 , 新 関 亮 , 外 山 博 近 ,<br />
上 野 公 彦 , 具 英 成<br />
( 背 景 )Liver…Hanging…Maneuverとは、 肝 右 葉 を 脱 転 することなく<br />
Rex-Cantlie 線 で 切 離 するというAnterior…Approachにおいて、 出 血 と<br />
切 離 方 向 の 誤 認 を 防 ぐために 考 案 された 手 技 である。しかし、 肝 静 脈<br />
前 面 にはいくつもの 短 肝 静 脈 が 存 在 するのみならず、 巨 大 腫 瘍 になる<br />
とIVCを 高 度 圧 排 していることもしばしばあり、 盲 目 的 な 鉗 子 の 挿 入 、<br />
テーピングは 大 量 出 血 を 招 く 恐 れがある。そこで 当 施 設 では 葉 の 左 右<br />
に 関 わらず、いかなる 巨 大 腫 瘍 例 でも 原 則 的 に 開 胸 を 伴 わない 開 腹 後 、<br />
肝 門 部 処 理 を 先 行 させ、 肝 脱 転 を 行 った 後 にテーピングするmodified…<br />
Hanging…Maneuverを 実 践 してきた。またテープにはPenrose…drainを<br />
用 いている。Penrose…drainは 切 離 時 の 牽 引 ・ガイドのみならず、 切<br />
離 最 終 局 面 でのIVC 前 面 の 保 護 という 役 割 も 兼 ね 備 えている。 当 施 設<br />
で 行 った 右 葉 切 除 と 拡 大 左 葉 切 除 のそれぞれ1 例 ずつをビデオで 供 覧<br />
し、modified…Hanging…Maneuverの 要 点 を 述 べる。( 症 例 1)45 歳 女 性 、<br />
HBV(+)、 最 大 径 15cmの 腫 瘍 が 両 葉 多 発 、Vp3、ICG…R15:…16.4%、<br />
IVCおよび 肝 静 脈 高 度 圧 排 認 めたため、 切 除 困 難 と 判 断 し、 経 皮 的 肝<br />
灌 流 化 学 療 法 (PIHP)を 先 行 させ 腫 瘍 を 縮 小 させた 後 に 切 除 。 逆 L 字 切<br />
開 で 開 腹 、 肝 門 部 処 理 を 先 行 させた 後 、 肝 脱 転 を 行 いテーピング、<br />
modified…Hanging…maneuverで 右 葉 切 除 及 び 肝 部 分 切 除 3カ 所 。 手 術<br />
時 間 10 時 間 16 分 、 出 血 量 630ml。 術 後 腹 水 、 下 腿 浮 腫 など 軽 度 合 併 症<br />
認 めたが 利 尿 剤 で 制 御 可 能 であった。( 症 例 2)…63 歳 女 性 、NBNC、 最<br />
大 径 9.5cmの 腫 瘍 が 両 葉 多 発 、 腫 瘍 破 裂 後 、Vp4、ICG…R15:…5.3%。<br />
逆 T 字 切 開 で 開 腹 、 肝 門 部 操 作 が 困 難 と 判 断 し、S3 尾 側 に 肝 外 突 出 し<br />
ている 腫 瘍 をまず 可 及 的 に 切 除 。その 後 肝 門 部 操 作 、 門 脈 腫 瘍 栓 摘 出<br />
を 先 行 させ、 尾 状 葉 を 含 めた 肝 脱 転 操 作 を 行 いテーピング、modified…<br />
Hanging…maneuverで 拡 大 左 葉 切 除 及 び 部 分 切 除 。 手 術 時 間 11 時 間 41<br />
分 、 出 血 量 891ml。 術 後 合 併 症 なく 軽 快 退 院 。<br />
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